暁 〜小説投稿サイト〜
戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
八章 幕間劇
エーリカとの御伽噺
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「なるほど。お気遣い、かたじけなく」

受け取った風呂敷を押し頂くようにした後、エーリカは包みを傍に置く。俺は包みの近くにあった本に気付く。

「またたくさんの書物を読んでるんだな。・・・・難しい書物でも読んでるのか?」

「いいえ。これは全て、御伽噺や歌物語の書物です」

「御伽噺?」

「はい。竹取物語や源氏物語、歌物語としては伊勢物語など・・・・少し興を催しまして」

源氏物語・・・・・紫式部が認めた宮中恋愛物語。

「ほう。エーリカが御伽噺か。何か意外だな」

「そうでしょうか?」

「意外って言うのは失礼だけど、何というかそういうモノに興味を持つ事を感心したというか」

「物語を読むのは楽しいですよ」

「うん。まあ俺も好きだけどさ、読めないんだよ」

「ああ、確かにかなり崩して書かれておりますからね」

「俺にはミミズのようにしか見えないからな」

「まぁ・・・・うふふ・・・・」

俺の表現が気に入ったのかな?エーリカは慎ましげながらも楽しそうに笑う。

「で、今は何を読んでいるんだ?」

「今は竹取物語を。・・・・とても興味深いですよ」

「興味深いって。物語が楽しいとか面白いとかじゃなく?」

「面白い・・・・そうですね。物語が面白いというよりも、こう・・・・興味深い」

「興味深いから離れてないな。どういうところが興味深いんだ?」

「登場人物達の考え方が、とても興味深いんです。例えば竹取の君・・・・かぐや姫はなぜ竹の中にいたのでしょうか?」

「いたのか?」

「竹の中にいたかぐや姫は何を思い、過ごしてきたのか。なぜ、求婚者達に無理難題を出したのか・・・・」

「確かに興味深いな」

「はい。ですがその辺りの説明は、さらりと流され、かぐや姫は物語の筋書き通りに行動し、そして天へと帰って行くのです。何度読み返しても、かぐや姫の行動は全てが必然となっている。物語の筋に沿って」

「まあ物語だからな」

「このかぐや姫は一体、何がしたかったのでしょう?」

ふむ。そう言う事を聞いて来たか。確かに、かぐや姫は何のために竹の中にいて、最後は天へと帰って行くのだろうか。

「さあな。だが、それはかぐや姫にとっては望むかどうかは別だろうな。例えば物語の人物が、読者の期待通りに動かない事だってあるし、予想外な人物が現れるかもしれない。それはそれで面白い。竹取物語に出てくるかぐや姫は、純情な男達を弄ぶ百戦錬磨の恋の達人とか。全然違う話になるけどそれはそれで面白いだろうな」

「なるほど。確かに興味深くはありますね。正しい話に進むか別の話に進むか」

「まあたぶん望まないだろうさ。いつも通りにやらせろとな」

「ええ。物語
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