八章
上洛の準備
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になる久遠。久遠は誰もいなくなった上段の間の天井を睨みつけていた。
「・・・・久遠。今、久遠が考えているのか、当ててみようか?」
「・・・・・・・・」
「未知の敵との戦いを始めなければならない不安と負ける事の出来ない、これからの戦への恐怖。仲間を危険に晒す事も。そして危険な状況が続いた後での、自分に向けられるかもしれない不信を想像して、臆病になっている。とこういう事か」
「・・・・・ふん」
認めたくないのか、そっぽを向いてしまった。俺は久遠に近付き、俺はその小さな顔を両手で包み込んだ。
「な・・・・・・」
「なぁ久遠。いい加減素直になろうぜ?俺は久遠を支えるためにここにいるが、俺だけではない。仲間達全員だ。過去に何かあったかは知らんが、ここにいる者達全員はお前を支える事を喜びにしている者達ばかりだ。それにな、神の言葉は信じられないか?仲間を信じろ、俺を信じろ、自分自身を信じろ」
俺はそのまま翼を展開し、俺と久遠に包み込んだ。
「・・・・・そんな事、出来るはずが」
俺は翼を温かくしながら久遠にキスをした。一瞬の出来事でパニックになっているが、翼の所為か落ち着きを始める。長くキスをしていたが、誰か来ると察知してキスをやめた。そして翼も閉じた。
「俺の気持ち、伝わったろ?」
「うむ・・・・やはり神というのは伊達ではないな」
「あ、いたいた。軍議が終わってから、いつまで経っても来ないから呼びに来たわよ」
「悪い悪い。少々久遠と話してた。でも最初からいただろう?お前ら」
と言ったら、隠れてたような隠れてないような。いつもの三人がこちらを見ていた。顔を赤く染めたが、俺は久遠にだけ聞こえるように言った。翼で隠れていたから問題ないと。そしたら礼を言ってきたけど。その後、キスする前から見ていたと言ったら逃げてったけどな。
「さてと、一真隊の面々もいるし、俺達も準備はしないとな」
「はいっ!って言っても、出陣はまだ先ですし、時間はありますからね」
「次の戦は長丁場になるでしょうから、時間をかけてしっかりと準備をしないと」
「その辺りは任せる。黒鮫隊については任せろ」
「「はいっ!」」
「詩乃は、って詩乃はまだ腹が立っているのか?」
詩乃はどうしてその事を?と言ってたから、神の勘だと告げた。ここで結菜が、風向きが変わるかもよと。さて、ご飯を食ってゆっくりと寝るとしましょうかね。あの時久遠を落ち着かせるために、使ったあの力は結構体力を持ってかれる。あれは愛する者しか効果のない輝きである。
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