七章 幕間劇
鬼×城下町×鬼
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さてと、今俺とエーリカと市は森にいた。なぜかというと無論鬼退治だ。また出たと言う報告があったので、俺達3人で行った。辺りに響くのは鬼の叫びのみ。俺の剣とエーリカの剣で斬ろうとしたら、わざと隙を空かせたところに行く。
「お市様!」
「市、そっちに行ったぞ」
けどな、最も手薄になっているところには。
「まーかせてっ!」
わざと大きく開けられたそこに身軽にひらりと姿を現したのは、俺らより小さな影だった。森の中、歩きにくい場所だというのに、そのステップはまるで氷の上でも滑るように。
「あなたの胸に!」
「グァアアアアアアアアアッ!」
道をこじ開けようと振り抜いた丸太のような腕をするりと抜けて。握った両手をコンパクトに構えた市は、一気に鬼の懐へ。
「私の愛を・・・・・っ」
振りかぶる拳。自身の加速と相手のスピード、あらゆる要素をその一点に詰め込んで・・・・。
「刻みつけるぅぅぅっ!」
闘具の打面に記された意匠を刻み付けるように打ち込まれたそれは、ウェイト比で数倍近いはずの相手が一瞬浮き上がる程の破壊力を持つ。まさしく砲弾のような炸裂音が響き渡り・・・・鬼の巨躯は、ぐらりと後ろへ倒れ落ちた。
「やったー!」
既に鬼の間合いの外に退避してた市は、動きを止めた鬼を前に無邪気で喜んでいる。
「この鬼は朝倉の鬼ではないようですね」
「そうだな」
この間小谷城に忍び込んで来たような、鎧を付けてるタイプではない。まあそいつらは、俺が殲滅させたようなもんだし。ここにいた鬼は尾張で見るタイプのものだ。
「お兄ちゃん!作戦、上手くいったね!」
「ああ、作戦は上手くいったようだが。市」
「・・・・どしたの?」
市の闘具の打撃面に刻まれた文字は、愛と染。それは、彼女が信仰してる愛染明王にちなんで、ひよが選んできたという京製の逸品だ。
「刻み付けたのは、愛じゃなくて染の方だ」
「・・・・・・あれ?」
染の一文字を土手っ腹に刻み込まれた鬼を見下ろして、市は思わず苦笑い。今回の任務、主に近接格闘でどのくらい有効かを確かめたかったので、今回は黒鮫隊の出番は無し。少し時間が経っていた帰り道、市は失敗したと言ってたがエーリカは充分な威力だったと。でも納得のいかない市だった、今まで使ってたのとだと逆だったって事かもな。
「次はうまくやろうっと。・・・・それより、手伝ってくれてありがとうね。お兄ちゃん、エーリカさん」
「別にいいよ。今回は近接戦闘がどのくらい有効なのか調べたかったし」
「それにあれらを滅ぼす事は、私の使命でもありますから」
これから鬼との戦いは激しくなる一方で、少しでも近接格闘に慣れてないとやられるな。黒鮫隊はいいとして、他の
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