暁 〜小説投稿サイト〜
戦国†恋姫〜黒衣の人間宿神〜
七章 幕間劇
二条館の朝×恋する想い
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、どうやら尾張の味噌を使ったようだった。どうして幽が知っているかは、帳簿を見ていればすぐ分かる物だそうだ。

「ふむ。尾張の味噌か・・・・。あちらは京とは違う、濃い味付けが多いのだったか」

「逆にあちらの味に慣れておれば、京の繊細な味付けは物足りなく感じる事でしょう」

「だが、尾張か・・・・」

「それは、その・・・・仲良くなった一真隊の方に、お料理の得意な方がいらっしゃいまして・・・・その方から、色々と教わりましたので・・・・」

と言った後、二人から色々と言われたら自滅した双葉。その御方の味付けと同じだったようだ。そして一葉は妹がもうその歳とは、もう子供扱いしておく訳にはいかないとな。

「はてさて。朝起こしてもらい、朝餉の支度をしてもらい、果ては髪まで梳かしてもらう側の言葉とは思いませんな」

「ふむ。ならば幽は余に料理をしろと?」

「まさか。そのような恐れ多い事、それがしからはとても口には出来ませぬ。もし口に出したなら、それがしは末代までそれを悔いいる事になるでしょう・・・・」

「ならばそのような事、口にするでない」

「御意」

という風になった後に、その御方の味付けが好きな味噌汁を飲むとしようと言ったら双葉は顔を赤くした。あの方とは誰だか分かるよな?もし分からない者がいれば鈍感だな。で、今は朝餉が終わって、双葉は今自室にいる。

「ふう、一真様から教わった味噌汁・・・・か」

文机の抽斗から取り出したのは、一枚の紙。丁寧な文字が並ぶそれは、先日俺が教えたレシピだった。俺の字ではないが、ノーパソで印刷された一枚の紙だけど。

「一真様にしか知らない物。一体なぜこんなにも作っているのだろう」

料理に慣れた双葉にとっては、味噌汁などさして難しいものではない。出汁の取り方や味噌の種類に少々違いはあるけどその程度である。でもこの紙に書かれている事は、双葉にとっては大切な物であってとても大事な物。そして口に出しながら、このレシピが書かれた紙を抱えながら口ずさむ。

「一真・・・・さま・・・・」

その時脳裏に浮かんだのは、一時の別れの時だった。色々世話になった事や次は早くここに来る事も。先に行ってしまったので、追いかけて行った俺のところには一枚のハンカチが落ちていたのだった。

「これ・・・・一真様の手拭い、なのかな・・・・」

双葉の手の中にあるのは、あの別れの時に一真が落としていった、一枚の布。絹、木綿、麻。肌触りが良い布地も、周囲を縁取る精緻な布細工も、彼女の知る如何なる布とも違う物のように見えた。南蛮の品か、あるいは・・・・一真の住んでいたという地の品なのか。布の隅に刺繍された花押とも紋とも付かぬものは、双葉には何を意匠したものかすら分からない。

「どうしてあ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ