七章 幕間劇
二条館の朝×恋する想い
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「何とも堅苦しい妹じゃて」
「お姉様がだらしなさすぎるんです。ほら、お座り下さいませ。御髪を整えさせて頂ます」
障子から差し込む穏やかな陽の光の中。室内にゆっくりと流れていくのは、長い髪を通る櫛の音だ。
「しっかり下さいませ、お姉様」
「日がな一日しっかりしておっては、息が詰まってしまうわ。たまには息抜きも必要であろう?」
「お姉様の場合は、たまには所か一日の大半が息抜きではありませんか」
「ふむ。言い返すのが上手くなったの」
「毎日の事であれば、慣れもします」
そんなボヤキを投げかけながらも、双葉が一葉の髪を梳く手は滑らかで、一度も乱れる事はない。加減を聞く双葉は、丁度良いと一葉が言う。これは毎日の繰り返しだけど。寝てしまうわと言う冗談をいったら、櫛が髪に引っかかる事で冗談だと言ったけど。どうやら、毎日ちゃんと手入れをしているのに珍しく引っかかる箇所があったようだと。
「毛が絡んでおるか?・・・・ふむ。いっその事切ってしまうかの」
「そんな、勿体ない」
「じゃが、面倒であろう?これからは戦も控えておるから、戦の時に掴まれても敵わんし」
これから戦が起こる時に、一々礼儀作法で挑む相手などいないだろう。相手の髪を掴んで首を掻き切る事に至っては、白兵戦の定石の一つでさえあるのだ。双葉には、毎日こうやっている事を気にしていた一葉であったが、気にしないと言った。それに大切なお姉様であり、こうやって毎日髪を梳くのも嬉しい事何だと。
「正直に言えば、もう少し寝起きをしっかりして頂ければ嬉しいのですが」
「・・・・・・それはまあ、善処しよう」
と要望を織り込むのも上手くなったな、と心の中で苦笑しつつ姉は妹に微笑みをかけてみせる。
「ですから、お姉様・・・・御髪に関しては」
「・・・・うむ。姉として、妹の楽しみを取る訳にはいかんな。髪を切る話はなかった事にしよう。忘れてくれ」
「・・・・はいっ」
そう答えた双葉だったが、第三者の声が聞こえた。相手は幽だった。どうやら朝食の準備が出来たとの事。
「そうそう。今日の汁を作ったのは、双葉様でございますよ」
「そうか。双葉も朝早くから大義であるな」
「いえ・・・・好きでやっている事ですから」
「だが、このところ多いな?台所番が辞めでもしたか」
「私の作った食事では、お嫌ですか?」
「そうではない。これまでは今ほど料理に熱を入れているとは思わなんだが・・・・何かあったか」
「いえ・・・・そ、そういう訳では・・・・」
「そうですな。ここしばらく、それがしが見る限りでも明らかに力が入っているご様子」
と言っていたが、味噌汁が前より濃くて辛かったようだ。前より薄かったようだが
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