六章 幕間劇
京巡り
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「なんと・・・・ショーグン家には、そのようないわれがあったのですか・・・・!」
まあ事実だな。童話で言うなら桃太郎もそうだけど、あれは事実を素にした絵本。吉備津彦命というのだけど、一説には、命の家来である犬飼健を犬、楽々森彦を猿、留玉臣を雉と見て、この温羅伝説がお伽話「桃太郎」になったとも言われ、岡山県ではこれをして自県を「桃太郎発祥の地」として宣伝している。
「先程五条大橋に出てきた義経公も、源を同じくする源氏の家系」
「だとすれば、まさに英雄の家系なのですね・・・・。ああ、神よ。この巡り合わせに本当に感謝いたします」
「そういえば、幽。足利家がその頼光公の弟の子孫っていうのは分かったけど、肝心の頼光公の子孫はいるの?」
鬼退治の英雄の末裔なら、弟より本人の子孫の方が強そうな気がするが。
「もちろんおりますとも。頼光公からしばらくは都の要職も占め、この世の春といった様相でしたが・・・・最近は足利家を含む河内源氏に押されて、知名度は今一つといったところですが」
「なるほどね、英雄の家系にも色々あるんだなぁ」
「まさに栄枯盛衰ですな。・・・・ああ、そうそう」
「どうかなさいましたか?」
「そういえばエーリカ殿の明智家も、摂津源氏・・・・頼光公の血筋と言われておりますなぁ」
マジか?するとエーリカのとこもという事か。明智家の繋がりに関しては間違いない。詩乃がその辺り間違えるはずはないし、エーリカも間違う程の情報を持っていない。
「私にも、鬼退治の英雄の血が・・・・」
海を渡ったその血が、こうやってザビエルを倒すために戻ってくる何て。縁というより因縁という風に考えてしまう。
「ありがとうございます、幽様。そのお話が、今日一番嬉しいお話でした」
「それは重畳。いずれにせよ、日の本で鬼退治などさして珍しい事ではありませぬ。此度の鬼の顛末も、恐らくは古の言い伝えと同じく、多くの物語の一端となる事でしょう」
俺はそう信じたいけどな。エーリカも信じたいようだけど、幽はなりますともと言ってたな。
「さて。では帰り道に、賀茂御祖神社にも参っておきましょうか。外来の仏ばかりにかまけて日の本由来の神に参らねば、それこそ神罰を受けてしまいますからなぁ」
「はいっ!」
相変わらずの調子の幽に、エーリカは弾んだ声で頷いて、馬を従わせる。幽のおかげで元気になったけど、美濃に戻っても同じような笑顔になってくれると神仏の類としては嬉しい事だ。
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