六章 幕間劇
京巡り
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いう所が肝ですな」
「はい。確かに私達の神はただ御一人ですし、そうでなければならない、という強硬な意見を持つ宗派が存在するのも事実です。ですが、そのような事をしていては、新たな地で教えを広めていく事などとても出来ませんから。日の本に来るまでに寄港した国でも、多くの神を信奉する国は珍しくありませんでしたし」
「その辺は結構融通聞くのね」
エーリカの場合は、母の影響が大きいと言っていた。母は神が天にただ一人という所まではこだわっていないと聞く。
「それが法王庁の考えと同じかは分かりませんが、そんな考え方も出来るからこそ、こうして宣教師に選ばれたのだと思っております。・・・・とはいえ、ザビエルの考えはそのような物とは訳が違います。あれだけは、許す訳にはいきません」
今まで穏やかに笑っていたエーリカの表情が、途端に曇った。ザビエルの話題になるとそうなるよな。
「ですな。何を信じようが勝手とはいえ、邪教の類はこちらに累が及びますからな」
「はい・・・・」
「ですが、辛気臭い話はその程度にしておいて、次はもう少し北に参りましょうか。あちらは最近の戦火を逃れた寺も多くありますぞ」
「まあ!もっと古いお寺もあるのですか!」
最近ねえ、幽が上手く話を切り換えてくれたから助かったけど。それはいつ頃の話なのかな。
「慈照寺も、とても美しいお寺でした」
エーリカは漆塗りの佇まいが凄く気に入った様子だった。まだほんのりと頬を赤らめている。まさかあれが現代で言う銀閣寺だとは思ってもいなかった。
「とはいえ、今の慈照寺は住職もおらぬ有様。一応、こちらで最低限の手は入れてありますが・・・・」
「そうなのですか?あれ程美しい建物なのに・・・・」
「お寺はどこも儲かってるという訳ではなさそうだな」
「寺領の少ない寺は酷いものですよ。・・・・しかし慈照寺は義政公の開いた寺社でありますゆえ、そう無碍にも出来ませんでなぁ」
「ですが、あの池のほとりの佇まいには、長い長い歴史を感じました」
「喜んで頂けたなら、何よりですな」
「俺からも礼をしたい。これなら神仏の諸君に良い報告が出来そうだ」
「気持ちが塞いでる時は、美しい物でも見て目の保養をするのが一番ですよ。幸い、京にはまだそれが出来る建物が幾つも残っておりますゆえ」
「塞いで・・・・。・・・・本当にありがとございます、幽様」
見れば分かるしな、今のエーリカの現状をな。
「でしたら、おぜぜもかからないがてら、もう一つ二つ、元気の出そうなお話などをさせて頂きましょうか」
「何でしょうか?」
「今日は、幾つかの寺をご案内させて頂いた訳ですが、そもそも仏の教えは、日の本で生まれた宗教ではございませぬ」
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