六章 幕間劇
お茶会
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「では、村の長達に不審に思われるような事はなかったと」
「はい。織田様にも都合があるのだろうから仕方がない、と言ってました」
「・・・・そう。(こういう時は、うつけと思われている事に感謝するべきなのかしらね。村の長達との会合をすっぽかしても不審に思われたり不満を言われたりしない何て。まあ、今回は定例の寄り合いみたいなものだったからいいけど、もっと重要な集まりだったり、他国からの使者に名指しされたりしたら誤魔化しきれるかどうか。全く。主が不在だなんて知られたら、碌な事にならないっていうのに、いつになったら)」
「久遠様達、いつになったら帰ってくるんだろうな」
「っ」
「出かけてから随分経つのに、なかなか帰ってこないよね」
「・・・・・・・・・」
「でもさぁ、何か羨ましいよね、ひよ達」
「そうだよね。仕事放り出して久遠様や一真様と京旅行なんて」
「あーあ、ボクも行きたかったなー」
「あなた達・・・・・・」
「他に、報告がある者は?」
「っ」
「誰かいませんか?」
「「「いませ〜ん」」」
「では、今日の評定はここまでという事で。よろしいですか、結菜様?」
「ええ。皆、これからも、どんな些細な事でも報告は怠らないように。くれぐれも久遠の不在を悟られるような真似をしては駄目よ?」
「「「は〜い」」」
こうして評定は終わった。結菜は麦穂を呼んだ。結菜一人でお茶を飲んでも味気ないらしい。部屋に行った結菜と麦穂。結菜は侍女に、お茶とお茶菓子を頼んだ。結菜は疲れていた様子だったが、そりゃ久遠の代理だからなのかもしれないし。
「でも、私は久遠が京に出かけようとしているのを止めなかったんだから、その責任を取らないとね」
「お察し致します。ところで本来の御用向きは?」
どうやら、気付いていたようだ。茶飲み欲しさに、わざわざ家臣に声をかける結菜だとは思わなかったようである。結菜はさっき制してくれた事に感謝したかったようだ。あそこで声を荒げたらと。それにいちいち腹を立てていたらとかね。
「結菜様は十分に堪えていらっしゃると思いますよ」
「堪えているのを悟られると駄目なのよ、やっぱり」
「あまりご自分をお責めにならないでください」
「責めてるっていうより、失望してるって感じよ。これでも、もう少し上手に立ち回れる人間のつもりだったんだけどね。こんなのが君主の代理だなんて、我ながら情けないわ。あなただって、何かしら私に不満はあるでしょう?」
結菜はそう言ったが、麦穂は不満などなかった。麦穂は結菜が久遠の代役を立派に務めているとね。自信を持てとも。双方黙ったが、結菜が麦穂に顔色変えずに言えるから、さすが久遠に信頼されている。
「では、
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