幕間+アリッサ:妖精の慰み ※エロ注意
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ちょっと高くなった自分の声色に驚きながらも、アリッサはその辺の草を千切り、恐る恐るネズミみたいな動物へと近づかせる。気分はちょっとしたマダムのようでもあった。草をひらひらとさせるのは、『木の実を食べるんだからあいつはきっと雑食だろう』という偏見に基づいた行動であった。
「草は好きか、うん?好きだろう、好きならおいで。大丈夫だ。性根が良いんだか悪いんだかわからん盗賊なんて近くにはいないからな」
空気の振動に気付いて、それは耳をぴくりとさせながらアリッサを凝視した。瞳孔がすっと窄まったが休養中の騎士はそれに気付いていない。足をすりすりと這わせながら近づいていく。近しい者にも見せた事の無い可憐な一面が現れていた。
徐々に草がネズミのような動物へと近づいていたが、あと僅かという距離に迫ると、それは脱兎の如く毛を翻して去ってしまう。一瞬口を開きかけたアリッサは、落胆しながら草を地面に捨てた。
「いいわよね。そっちは自由きままで」
アリッサは立ち上がり、林道から外れて川辺へと寄ってみる。さらさらと水が癒しの斉唱を唱えていた。樹冠を被った川は淡い緑に染まっており、透き通ったその水に触れてみたいと思ったが川まで少し傾斜があるために躊躇われる。折角だから上流へ行ってみようと、アリッサは足を運んでいく。
十分は経っただろう。ハイキングのように軽い気持ちで進んでいけば、ロッジの姿は指一本分くらいにまで縮んでいた。清流の流れに逆らって歩いていくと、川の音が一気に膨れ上がってくるのを感じ、その正体を眼前に捉えてアリッサは足を止める。高さ数メートルほどの滝が流れ、小さな滝壺ができていた。水の量はそれほど多くなく、木の葉も滝壺の水面に留まったままだ。
きっとここで泳いだら気持ちいいだろう。そんな思いが心に走るのを感じて、アリッサはそろそろと周りを探る。人の気配はまったくない。草むらが揺れたとしても、それは小動物か風のせいだろう。
「どうせ誰もいないんだし....」
そう言い訳しながら、アリッサは衣服を一枚ずつ脱いでいく。上はカーディガンと肌着を、下は膝丈のワンピースをそれぞれ高さのない木の枝に引っ掛ける。純白の下着を取る際は少々抵抗があったが、開き直りが大事だとそれも取ってしまう。
鍛えられたアスリートの如き天輪のような美体を、アリッサは恥ずかしげに水へと滑らせた。春の清水は冷たく肌がびくりとしかける。しなやかな脚から水へと入れて下半身を落す。騎馬に耐えるために引き締められた臀部と、それを支えるには華奢とも思いかねない柳腰が水に浸った。アリッサは更に身体を沈めようとするも、足の裏がさらさらとした砂利を踏むのを感じた。川底は思ったよりも浅い。結局、彼女は臍までを清水へと浸からせ、その上は惜しげもなく日光の下に晒していた。
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