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リュウジの秘密捜索が始まってから、はや2日。
当然そちらも大切なのだが、俺達は通常の任務も、当然こなしていくしかなかった。
ヘリの中、ソーマさながらに風に当たる。ヴァジュラの大量発生だとかなんかで、嘆きの平原へ向かう最中だ。
「お前、本当に大丈夫なのか?」
心配そうにタツミが覗きこんでくる。が、心配される理由がわからない。
「大丈夫だよ。なんで?」
「んー、なんか暗そうな顔してたからかな」
リュウジの事で落ち込んでいるとでも思ったのだろう。
そう、みんなはリュウジの事を知らない。知っているのは一部の新型神機使いのみなのだ。いうなれば彼らは蚊帳の外、俺はさしずめ悲劇の真っただ中のヒーローだ。
差し入れとして頂いた何の味かもわからないレーションをかじりながら、落ち込んでもいないのに溜め息を付いた。これからしばらく、つかなくていい嘘をたくさんつかなければならないだろう。
「アツシさん、本当に大丈夫ですか? あまり無理しちゃだめですよ」
「カノンさんまで……本当に、俺は大丈夫ですよ。心配しないでください」
実際暗くはない。リュウジの安全を少しでも確認できたのだ、むしろ喜び走り回りたい。だが、たとえ生存確認で浮かれていても職業は職業。きちんとこなさねばならない。その上、嘘までつかなければならない。
缶を開け、マズいレーションを流し込む。嘘は嫌いだ、心が暗くなる。
と、タツミがいきなり悲鳴を上げた。
「おっ、お前それ初恋ジュースじゃねーか!」
「失敬な、これはただの初恋ジュースではなく、初恋ジュース失恋フレーバーです!」
「それってあれですよね、コーヒーみたいな苦味とお酢みたいな酸っぱさが折り重なり、しかも悲しみが溢れる謎の香りがする、初恋ジュースを超えた最悪の飲み物……」
そんなにひどいだろうか? 初恋ジュースだってそうだったが、むしろ自分としてはこれはかなりおいしいのだが。
「確か、『人類の失敗』ってあだ名ついてましたよねー、ひどいなぁ……ん、おいしい」
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