陽だまりのダークナイト
Erosion Criminal Dragon
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った。
実戦経験も碌にない子供では、まるで歯が立たない相手。
僕はボロボロにされて、魔剣を杖にしてようやく立っていられる状態だ。
あれを、使うか?
十回に一回しか成功しなかった。奥の手を、使うか?
思い浮かべるのは、被験者として集められた同志達とは別に、僕だけが特別とされた所以でもある力。
あれなら目の前の獣人にも届くかもしれない。スピードは及ばないが、辺り一帯を吹き飛ばすぐらいのことはできたはずだ。
獣人がふらつく僕に手を伸ばそうと近付いてきてくる。
やらなければ、できなければ、僕の未来は潰えてしまう。やらなければ。
「それ以上その子に近寄らないで頂戴」
不意に聞き覚えのある声が森の中を駆け抜けた。顔だけそちらに向ければ、そこには見覚えのある少女が一人佇んでいた。
リアス・グレモリーだ。こちらの状況を把握するや、激怒の様相で獣人を睨んだ。
「よくもその子を痛めつけてくれたわね。あなた、はぐれね?よくこの山に入ってこれたものだわ。無知って怖いものね」
自分よりも何倍もの体格を有する者を相手にしても全く動じないリアス・グレモリーの剛胆さ。僕はこんな状況でありながら、それに感心してしまった。
獣人は紅髪を見て眉を吊り上げる。
『……紅いの髪、グレモリーか?ほう、ではこのガキはグレモリーの眷属と言うことになるな。おもしれぇ。グレモリー眷属のガキなら更に高値が付きそうだ』
下種な口振りはリアス・グレモリーにも向けられていた。彼女の紅髪は怒りのオーラで揺れていく。
「高値?私の可愛い眷属で売買をするつもりなの?許せないわ。万死に値する!」
………………そうだ。この虎頭のクソ獣人は、万死に値する。
僕の……同志達の……墓標を馬鹿にしたのだから……ッ!
僕は全身を襲う激痛に耐えながら、口を開き、唱えた―――。
「―――禁手化…………ッ!」
瞬間、僕の足元から大量の剣―――魔剣が創り出され、凄まじい勢いで重なり合っていく。無数の魔剣が、何か大きな一つの物体を形作っていく。
―――僕の背後に創り出されたのは、幾重もの魔剣によって作り上げられた一体の巨大なドラゴンだった……。
虎の獣人は呆気に取られたように口を開き、己よりも巨大な魔剣のドラゴンを見上げていた。
リアス・グレモリーも酷く驚いたようにドラゴンを、いや、僕を見ていた。
「―――『原罪の魔龍』……ッ!これが、僕の奥の手、禁手だ……ッ!」
僕は、被験者として集められた時から、この力を身に着けていた。
子供ながらに神器の到達点であり、稀な現象である禁手に至っていたからこそ、
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