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ネギまとガンツと俺
第25話「過ちと真実」
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った。

 女性徒たちが悲鳴を上げる。




 だから、タケルは気付けば大声を出していた。

「ネギ! 修行を思い出せ!!」
「……」

 倒れ、地に伏したまま動かないネギに、それでもタケルは声を大にして言う。

「絡操さんの動きはそんなものだったか!? 俺の拳はそんなに軽いか!? エヴァの魔法はそんなに優しいものだったか!?」

 気のせいか、ネギがピクリと反応した気がした。

「もう一度言う。修行を思い出せ!」

 一度大きく息を吸い込み、そして叫ぶ。

「お前なら……勝てる!!」


 ネギは立つ。

 
 恐怖の色は消え、視線は真摯に敵へ。

「はい……タケルさん!!」




 こうして今回のタケルのミッションは、彼自身が戦うこともなく終わった。

 ヘルマンはネギと小太郎に倒され、彼がもといた世界に還っていった。

 傷ついたネギは木乃香によりその傷を癒してもらい、そのまま倒れるように眠ってしまった。

 数時間後にはいつも通り、晴れやかな朝が来る。

 まだまだ夜の帳が深いこの広場で、ただ一人。疲れてすらいない男がポツンと立ち尽くしていた。

「……」

 星が瞬き、月が映えている。

 ただ、空を見上げている彼の背後に音もなく一人の少女が降り立った。

「……部屋に帰らないでござるか?」

 タケルは驚くこともなく、空を見上げたまま答える。

「ああ」
「いい空でござるなぁ」

 あくまでも穏やかにいてくれるのは単なる天然か、それとも彼女なりの気遣いだろうか。

「2つ、決めたことがある」
「……ん?」
「明日になったらネギに謝る」
「……もう一つは?」

 目の前の彼女は温かい。

 理由も何も尋ねず、ただ淡々と澱みなく話を聞いてくれる。それは確かに、彼女なりの優しさで、タケルはどこかホッとする。

 穏やかになる心を自覚しつつ、もう一つの決めていたことを答える。

「俺も、楓みたいにネギを裏から助けようと思う」
「……そうでござるか」

 そして、沈黙がお互いを包み込む。

「「……」」

 だが、それは気まずいものではなく、むしろ心を落ち着かせてくれる。

 空を見上げていた二人が寄り添う。

 ゆっくりと、徐々に。

 視線はお互いの目を見て離さなくなる。

 見詰め合うこと数秒。

「……」

 タケルがゆっくりと言う。

「……ありがとう、楓」

 そして彼女はいつも通り、こう言うのだ。

「にんにん」

 きらきらと星が輝く満天の空の下。

 2つの笑顔が優しく咲いていた。


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