暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリアGS  Genius Scientist
イ・ウー編
武偵殺し
13弾 交錯する剣戟
[5/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
えなかった。

「……これで、勝負はついたも同然ですね」

 間宮が勝ち誇ったような笑みを浮かべる。

 まあ、確かに普通なら徒手格闘で二刀流に勝てる訳ないわな。そう、普通なら。

「……さーてね。それはどうかな?俺はまだ負けるつもりはないぜ?」

「そうですか。なら、あたしが直接負けにしてあげます!」

 そう叫んで、間宮が飛び込んでくる。どうでもいいが、攻撃する前に叫ぶのって流行ってるのかな、俺もさっきやったけどさ。

 まあそんな与太話は置いといて。

 間宮が飛び込んでくるのに合わせて、俺も飛ぶ。

 確かに、さっきの交錯の時、俺には間宮の手の動きがほとんど見えなかった。

 だが、ほとんどということは少しは見えたのだ。

 その少しの情報と、いくつかの状況を照らし合わせてみれば。

「俺も、ほとんど同じような技を再現できるんだよ!」

 形勢が、逆転した。



「これで形勢逆転だな」

 嘘。今、何が起きたの。

 今のあたしの手元には武器がない。代わりに、薬師丸ミズキの手の中には武器が2つ。ちょうど、さっきの状況を逆転させたものとなった。

 さっきの一瞬の交錯で、今度はあたしの武器がスリ取られた。

 間違いない、あれは――――

「鳶、穿?」

 思わず、呟いていた。

「ん?もしかして、さっきの技って『鳶穿(とびうがち)』って言うのか?」

「なん、で、使え」

「見よう見まね。いや、ほとんど見えなかったから見よう見まねとは言わないのかな?」

「見よう見まね……?」

 そんな。あたしだって何回も練習して使えるようになったのに。

 薬師丸ミズキ。こいつ、いったい何者なの?

 無理だ。勝てるわけがない。こんな奴に勝てっこないよ。

【……諦めるの?決闘が始まる前は、あんなに『諦めない』って言ってたくせに】

 頭の中の自分が問いかけてくる。

(そんなのっ!……あの時はまだ知らなかったからだよ。薬師丸ミズキの強さを)

【ふうん。それを言い訳にして逃げるんだ。ま、いいんじゃない。所詮これはただの決闘。負けたって別に死ぬわけでも、誰に迷惑をかけるわけでもないし。アリア先輩だって、きっと許してくれるよ】

(そうだよ。いくらアリア先輩だって、ここまで頑張ったんだもん。『諦めろ』って言うはず――――)

【本当に?】

(そ、そうに決まってるでしょ。いくらなんでも、これは諦めてもいいって。そう言ってくれるに――――)

【本当に?】

(……………………)

 ……本当はわかってる。

 アリア先輩は、こんな状況でも絶対に『諦めろ』なんて言ったりしない。
あのアリア先輩が諦めてもいいな
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ