九幕 湖畔のコントラスト
10幕
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身が、誰よりそう在ってほしくなかったなんて。本当にわたしって、救いようのないくらい悪い子)
「……て」
ふいにヴィクトルの腕の中にいたエルが呟いた。フェイは首を傾げて姉を見返した。
「……なんか、なんて……言うなあああああ!!!!」
エルが暴れた。手足を力一杯バタつかせた。
突然の反抗にルドガーたちは目を丸くし、当のヴィクトルはエルを腕から逃がしてしまった。べしゃ、と不恰好に地面に落ちるエル。
「エルっ!」
「お姉ちゃん!?」
ヴィクトルが狼狽し、エルを助け起こそうと手を伸ばす。しかし、何とエルは、そんな父親の手をぱしりと振り払った。
エルは泥だらけの顔を上げ、起き上がって一直線に駆けてくる――フェイへと。
フェイ・メア・オベローンの心が再稼働する。感激に打ち震える。
(なんて力強いの。なんて凛々しいの。なんて、眩しいの。これがわたしの姉妹だなんて。わたしはどんなに幸せ者なんだろう)
腰に飛びついたエル。小さくも生命力に溢れた、世界最強で最高の姉を、フェイはしっかと受け止めた。
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