二十五 決着
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せの術式さえあれば術は発動出来る」
そしてナルトは肩越しに後ろを振り返った。
石盤。それに施されているのは零尾抑制の術式と、口寄せの術式。通常口寄せするには契約者の名を術式に組み込む。それは神農とて例外ではない。故に石盤には神農の名も施されている。だが、今一度目を凝らして石盤を見ると、神農という名が見当たらない。
あるのは石盤に突き刺さったメス。それも丁度、名があったはずの箇所を刺している。
契約者の名前は正確でなければいけない。ほんの些細な誤りがあれば、口寄せされたモノは術者の支配を逃れる。勿論口寄せ生物自体が術者に親しみを持っているならば別だが。
神農の字を削っているのは、メスの先端にこびり付いている血。ナルトが神農と初めて会ったあの瞬間。落し物と称してメスで神農の頬を切りつけた。その時の血である。
最初に石盤上へ跳び乗り、口寄せの術式の場所を確認する。鋼糸ではなく、ただのワイヤーを神農の名前の上に目印として巻き突かせておく。迫る触手から逃れたのもその糸を用いた。そしてわざと隙を見せる。攻撃がナルトに集中した瞬間に、クナイの嵐。更に普通のクナイに混入した起爆札によって神農の視界を奪う。香燐に変化した影分身を狙うように仕向け、物陰に隠れていた香燐に【神楽心眼】を使ってもらう。神農の位置を正確に知った上での幻術。神農が零尾から抜けた瞬間に、指に巻き付けていたワイヤーにメスを添える。
出入り口であるこの場所と石盤は遠く離れている。ましてや高所からの落下。ナルトの意図通りにメスは神農の名を抉った。仕上げはワイヤーの回収。
つまり現時点を持って、零尾は神農の支配から逃れたのだ。
「……お前はどこまで…」
項垂れていた神農が訊ねる。彼の問いにナルトは答えなかった。ギクシャクと立ち上がった神農は壁にその身を凭れ掛らせた。
「だが、やはりてめえらは何も解っていないガキだ」
「負け惜しみか?」
香燐の言葉に、神農はかぶりを振った。ややあって顔を上げる。にたりと白い歯を見せて彼は嘲った。
「手綱から解き放たれた零尾がどうなるかはわしにも解らん。残念だったな…所詮、貴様らは此処で死ぬんだ」
クククッと嘲笑する。次の瞬間、彼の身体が宙に浮いた。我に返った零尾が神農に襲い掛かったのだ。
無理矢理神農に従わされていた零尾。屈従に耐えながら復讐の機を狙っていた。その機会がようやく訪れたのだ。神農の支配から逃れ自由になった今、零尾の望みはただ一つ。
高所から突き落とされる。
ぐんぐんと高速落下する神農。それを追うように落ちてくる零尾。がぱりと零尾が口を開いた。
迫り来る巨大な歯。
(―――ああ。喰われるのか)
諦めたように目を細める。
今まで自分が築き上げた地
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