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渦巻く滄海 紅き空 【上】
二十五 決着
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。だがそれより早く、彼の身体は炎に包まれる。
「ぐああああぁああッ!!」
熱い。燃える。身体が灰になる。溶岩の海に叩き込まれたようだ。真っ赤に燃え盛る。熱気で世界が歪んで見える。発狂。
神農は反射的に自ら零尾と自身を切り離した。零尾諸とも燃え尽きるなど御免だからだ。

離れた瞬間、ごろりと床に転がる。転げ回る事で火を消そうと彼は試みた。のた打ち回る。
やがて彼ははたと身を起こした。痛みなど一向に感じないのだ。熱さも嘘のように消えている。


「ただの幻術だよ」


涼しげな声に神農は顔を上げた。五体満足の香燐とナルトがじっと見下ろしている。そしてすぐ傍に横たわっているのは零尾の巨体。しかしながら燃えていたはずの零尾にも火傷一つ無かった。
零尾と子ども二人に、彼は交互に視線を往復させた。人の姿に戻った神農を見下ろしながら、ナルトは細い指を微かに動かす。キラリと何かが光った。

暫し思考力を失っていた神農がはっと正気に戻る。そして「馬鹿な」と声を荒げた。
「チャクラは使えないはずだ!零尾に吸収されて…ッ」
「だからここまで誘き寄せたんだよ」
香燐が心持ち声を張り上げて答えた。
「その零尾とやらにもチャクラを吸収する範囲ってものがある。だから範囲外であるこの地点まで来てもらったんだ」
「な…ッ!?」
彼女の言葉に神農は声すらも失った。香燐の神楽心眼を知らぬ彼は(零尾のチャクラ吸収範囲を計算したのか!?この小娘が!?)と本気で驚愕する。
「ついでに言うと、さっきあんたが刺したのはダーリンの影分身」
「下に降りる前に作っておいたんだよ。爆発の煙に紛れて、変化するように指示しておいた」
香燐に続いて、手元で何かを手繰り寄せていたナルトが答えた。


彼は神農と闘う前に、影分身を彼女と共に待機させておいたのだ。そして遺跡傍の村に掛けられたクナイを収納した巻物を手渡す。またクナイの中に起爆札付きクナイを紛れ込ませたのは、影分身が香燐に変化する瞬間を見られないように。そしてチャクラが使える地点まで神農自身を誘ったのは、香燐に【神楽心眼】で零尾を透視してもらうのが目的だった。
彼女が指摘した一点――零尾の中にいる神農のみにナルトが幻術を掛ける。炎といった熱の刺激によって反射運動を促す。今回の場合、炎に包まれた零尾から逃れようと、無意識的に行動を起こさせた。
即ち、零尾の同化を解くという事。


「わしと零尾を切り離すため、か…。だが無駄だ。零尾はわしの思うがままに動く。こんな小細工……」
「【口寄せの術】は契約者の血液を記した口寄せの術式で発動する」
神農の言葉を遮って、突然ナルトが【口寄せの術】について語り始めた。訝しげに眉を顰める神農を尻目に、彼は言葉を続ける。
「もっとも契約者でなくとも契約者の血や口寄
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