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渦巻く滄海 紅き空 【上】
二十五 決着
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という音に振り返ると、すぐ後ろの壁にクナイが穿たれている。
「どこから……ッ!?」
驚きの声を発すると共に、クナイが飛んできた方向を確認する。神農の視界に、赤い髪の少女が映った。出入り口付近で待機している、香燐の姿。
(あの女……ッ)
忌々しげに睨む神農の耳朶を再び鋭い音が打った。立て続けに飛んできたクナイ。振り払おうとした神農はギョッとした。ただの刃物ではない。起爆札付きだ。


爆発。


爆風に煽られながら、神農は目を凝らす。赤髪の少女が巻物からクナイを取り出し、それを一斉射撃しているのが見えた。無数の刃物が雨霰と彼の頭上に降り注ぐ。しかもどうやらそれらは全て、村に仕掛けておいた罠のクナイのようだ。
「落し物を届けに、か…。ふざけやがって…ッ」
ふと初会でナルトが口にした言葉を思い出し、神農はチッと舌打ちする。また厄介なことに普通のクナイと起爆札付きクナイが混同しているのだ。クナイの嵐に翻弄される。
「舐めるな…ッ!!」
神農はナルトに向けていた触手を全て四散させた。クナイの雨を尽く弾く。途端、一つの起爆札が発火した。

一つが爆発すれば他の起爆札も誘爆を起こす。あちこちで起きる爆発。一つ一つならば大して効果はないが、数をこなせば大規模になる。同時に炸裂し、爆発が重なる。


派手な爆発音が轟いた。


激しい爆風。白煙がうっすらと視界を遮る。煙が晴れてゆくにつれ、赤髪の少女がぼんやり浮かんできた。
「―――まずはお前から手にかけてやる!!」
そう叫ぶや否や、神農は自ら繭から脱け出した。


全てを無茶苦茶にしたい衝動に囚われる。
自分はただ理想を掲げ、夢見る人間ではない。それを実行に移し、現実にする。そのためには手段を選ばない。たとえ自らが化け物になろうとも――――――…


巨体をずるりと引き摺る。身体の大きさに反して俊敏な動き。あっという間に香燐がいる壁の一角へ辿り着く。そして触手を槍のように突き立てた。


「死ぃねえぇええ―――――――――――――ッ!!!!」










ドスッと鈍い音が響く。香燐は大きく目を見開いた。触手の一つが背中から飛び出ている。
下腹を突き破っているそれを彼女は見下ろした。間近で笑う神農の顔に目をやる。そして香燐は――――。














「……惜しいなぁ」
にっと口元を緩めた。


「また、外れだ」
ぼうんっと白煙が舞い上がる。同時に煙の向こうから女の声がした。
「ダーリン、背中だッ!!面の『零』という字より後頭部、一尺ほど後ろ!!」
「それだけ解れば充分」
刹那、ナルトがひゅっと神農の背後に現れる。



後ろから聞こえた声に神農は振り向こうとした
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