二十五 決着
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「このクソガキ…!言わせておけば―――ッ!!」
繭に籠ったまま、力を放出する。神農の後ろで、石盤が一段と強い光を放った。
ぐぎゅりと繭から伸びる触手。それは次から次へと増殖し、その先端は人の手のように形作られていった。まるで千手観音の如き数多の手。それらが繭から周囲に射出される。
「………それに、尾獣じゃないよ」
一握りの真実のみを告げ、ナルトは小さく嘆息を漏らす。そして跳躍した。
どっと押し寄せる手、手、手。
その一つをかわしても、別の手が彼を捕らえようと迫る。それらを巧みに避け続け、石盤上にナルトは跳び乗った。くいっと指を動かす。
ぐりんと振り向いた神農が繭越しにナルトを見た。触手を伸ばす。
それを、上体を逸らす事でかわし、同時に石盤を蹴った。急降下。
ナルトを仕留め損なった触手がその後を追う。空を回転しながらナルトは糸を絡めた。後ろから迫り来る触手をちらりと見遣る。地面を這うように真下からも触手が襲い掛かった。手と手がナルトを押し潰さんと殺到する。
挟み打ち。
ギリギリまで引きつける。蚊のように叩き潰される寸前、ナルトは手首を捻った。ぐいんっと身体が石盤に引き寄せられる。
石盤に絡めておいた糸が弧を描く。ナルトの背後で触手の手と手が激突した。大きく空を舞い、無事に着地する。
「また鋼糸か!芸の無い奴だ!!」
ナルトの行動を目で追っていた神農が悪態を吐いた。再び触手を振るう。ナルトが大きく後ろに跳んだ。
ドゴオッと床全体を揺るがす地響き。
直前までナルトが立っていた床がべこりと凹んでいた。鮮やかな緑を煌めかせ、空高く撒き上げられる破片。エメラルドグリーンの欠片が金の髪に降り注ぐ。
「どうした!?チャクラがねえと手も足も出ねえのか!!」
ヒャーハッハッと嘲笑する。圧殺する勢いで神農はナルトを追い回す。さながらそれは蠅叩きの如く。だが実際、掠りもしていない。
(なんてすばしっこい野郎だ…ッ)
内心感嘆の声を上げながら、神農はナルトを執拗に攻め立てた。
容赦なく襲い掛かる触手。その隙間を縫って、ナルトは駆け出した。身体を捻り、跳躍を繰り返す。白き羽織がぱっと空を舞った。
「殺ったか!!」
思わず声を上げる神農。だが次の瞬間、彼はぎくりと顔を強張らせた。視界に映る、ナルトの青い瞳。それも至近距離。触手が攫ったのは彼の羽織のみだったのだ。
(速い……ッ)
驚愕を隠しもせず、焦った神農が触手を再び輻射した。四方八方に放出される手。我武者羅に射出したためか、不意を衝かれるナルト。
偶然、触手の一つが彼の鼻先を掠ってゆく。その機を逃さず、一気に全触手を殺到させる。
一斉攻撃。
だが次の瞬間、ひゅんっと神農の傍を何かが通り過ぎた。
カッ
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