九幕 湖畔のコントラスト
7幕
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と耳を澄ました時、フェイにもエルにも衝撃的な言葉をヴィクトルが発した。
「本物のエルとの、暖かな暮らし」
エルが目を見開いた。本物? と、気の抜けた炭酸のような声を上げた姉を、フェイは堪らず後ろからきつく抱いた。
「ねえ、フェイ、エルは……ニセモノ、なの?」
分史世界の人間はニセモノ。かつて〈ミラ〉をいないもの扱いしたフェイが分史世界の人間だった。それはいい。因果応報だ。
だが、エルはニセモノ呼ばわりされる筋合いはないはずだ。フェイは特殊な入り方だったからともかく、もしもエルが分史世界の存在なら、正史世界に居る〈エル〉が障害物になって入れるはずがない。
「ありえない」
「でも」
「ゼッタイ、ない。フェイはそう信じる。お姉ちゃんはホンモノだよ」
エルは体を返し、フェイの胸に頭を埋めた。
「わたし、パパに訊いてくる。何で急にホンモノなんて言い出したか。お姉ちゃんがいないとこでお姉ちゃんのヒドイコト言うなんて、パパでも許せないもん」
いざフェイが出ようとした時だった。ヴィクトルが吼え、ルドガーに双剣で斬りかかったのだ。
「パパ!? 何で」
ルドガーも双剣を抜いて受け流そうとするが、ヴィクトルのほうが速い。
「まさかヴィクトルさんは!」
「分史世界のルドガーか!?」
フェイとエルは互いに顔を見合わせた。
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