第八十九話 六人目への介入その八
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「ですから私も」
「そうなるわね」
「そうです、そしてあの方は神としての力が」
「ティターン神族の中でヘリオス兄様と共に中立を守っておられたわ」
ゼウス達とティターン神族との戦いについてだ、そうしていたのだ。
「だからね」
「失墜もされず」
「力も失わず」
「そうしてですね」
「居間に至りますから」
「そうよ、力はね」
それはというのだ、セレネーの力は。
「神話の頃から損なわれず強いままよ」
「だからですね」
「私達一人一人では」
「勝てないわ」
これが智子の見立てだ、オリンポスの神々の中では軍師の位置にもある彼女の。
「残念だけれどね」
「それでもですね」
「三人では」
「日本の言葉にもあるわね」
三人が今いるこの国の言葉についても言った。
「三人寄れば文殊の智恵という言葉が」
「文殊菩薩ですね」
聡美は文殊と聞いてすぐに言った。
「仏教の菩薩の一人の」
「ええ、そうよ」
仏教において智恵を司る菩薩だ、智恵と司ることに相応しく他の仏よりもさらに秀でた智恵を持っている。
「その文殊菩薩と同じだけの智恵が備わるわ」
「三人あればですね」
「そうよ、だから私達もね」
「三人いれば」
「セレネー姉様の力が備わるわ」
そうなるというのだ。
「そしてあの方を」
「止められますね」
「ええ、ただしね」
確かに三人寄ればセレネー以上の力が備わる、だがそれでもだとだ。智子は二人にこのことは念押しした。
「それはただ三人いるのではなく」
「揃ってこそですね」
「そうよ、三人いてもばらばらなら」
そうであればというのだ。
「一緒よ」
「一人一人でいる時とですね」
「同じですね」
「そうよ、同じよ」
例え三人いてもだというのだ。
「だから揃わないとね」
「セレネー姉様を止められませんね」
「この戦いを終わらせられないわ」
それが出来ないというのだ。
「だからこそね」
「私達はですね」
「揃わないとならないですね」
「幸いにしてお姉様は不和を好まないわ」
例えそれが今は対峙している三人に対して有効でもだ、セレネーは三人に謀略を仕掛けることはないというのだ。三人を不和にさせる様な。
「そもそも謀りごと自体がね」
「お好きではありませんね」
「貴女はお姉様に似ているわ」
智子は聡美を見て言った、自身の腹違いの妹を。
「その気質はね」
「自分でもそう思います」
「長い間共にいたからなのね」
「そうです、私達は」
聡美も真剣な、強張ってさえいるその顔で智子に答えた。
「その性格はそっくりです」
「まさに姉妹の様にね」
「血筋は違いますが」
聡美はオリンポスの神々の一柱だ、そしてセレネーはティターン神族だ。血筋的に二人は叔
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ