第五十六話 クライマックスその六
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「何かしら新しい試みとかを入れていたのよ」
「チャレンジしていたんですね」
「そうだったんですね」
「そのせいか沢山作れなかったり修理しにくかったみたいだけれど」
つまり量産性と整備性が悪かったというのだ。帝国海軍の兵器は性能を追い求め新機軸や実験的要素の導入を見るあまりその二つはおろそかになっていたのだ。
「それでもね」
「いつもチャレンジしていたんですね、海軍も」
「あの軍隊も」
「というかね」
宇野先輩はここで苦笑いにもなってこのことを話した。
「何かそういうのを絶対に入れないと気が済まなかったみたいだけれど」
「開発する兵器ですか」
「その都度」
「そうみたい、中にはおかしな兵器も多かったし」
「何か富嶽ってありましたよね」
里香は随分と見事な名前を出してきた。
「シューティングゲームに出て来るみたいな飛行機」
「ああ、それのことお兄ちゃんから聞いたわ」
宇野先輩はその富嶽という名前に反応してこう言った。
「海軍が設計していた爆撃機ね」
「富嶽って富士山のことですけれど」
「富士山みたいに巨大な爆撃機だったのよ」
その富嶽はというのだ。
「エンジンが六つあってね。日本からアメリカ本土まで往復出来る」
「そんなの当時開発出来たんですか?」
「絶対に無理だったと思うわ」
だから架空戦記では人気があるのだ、夢の兵器であるからこそ。
「何処をどうやればこんなの考えられるんだって」
「そんな兵器だったんですか」
「そういうのも考えてたのよ」
帝国海軍はというのだ。
「チャレンジを通り越して有り得ないものを作ろうとしていたのよ」
「そういうのはちょっと」
「現実は見ないと」
五人は富嶽の話を聞いてこう言った。
「やっぱり流石に」
「チャレンジもその中で、ですよね」
「いやいや、富嶽は極端だけれど」
「ある程度冒険してもいいのよ」
宇野先輩だけでなく高見先輩もこう言う。
「飛び越えられないものを飛び越えるつもりでね」
「そうすればね」
「そうなんですか」
「そうすればですか」
五人は先輩達のその話を聞いて応える。
「チャレンジはですか」
「失敗を恐れずに」
「皆怒らないから、失敗しても」
「先生も部長もね」
「勿論私達もだからね」
「安心していいから」
先輩達は五人に自分達もだと話す。
「失敗なんて皆するし」
「それを怖がってたら何にもならないわよ」
「だからいいわね」
「チャレンジしなさいよ」
「わかりました、それじゃあ」
「今度の演奏は」
当たって砕けろでチャレンジしようと言う五人だった、そして。
宇野先輩はサックスを、高見先輩はベースを手にして五人に確かだが明るい笑顔で言った。
「じゃあ今からね」
「私達もチャレ
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