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乱世の確率事象改変
彼と並び立つモノ
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彼は夜通しの戦だったが気を抜くのはしっかりと整えてから、という事を言いたかったんだろう。私が言うと、その証拠に嬉しそうな笑顔を向けてくれる。

「クク、雛里には敵わないなぁ。じゃあ鈴々、兵の纏めに向かおうか。雛里、また後でな」
「応なのだ!」

 いつも通りの言葉をくれて、手を小さく振る私に背を向けて、彼は鈴々ちゃんと二人で天幕を出て行く。

「よーっし、鈴々の方が速く纏められたらお兄ちゃんの昼のおかずは全部頂くのだぁ!」
「ちょ、待て鈴々! さすがにこんだけ眠いのに腹まで減ったら動けねぇよ!」

 楽しそうな二人の声が遠くなった所で私の心は安堵に包まれた。
 彼が無事に、優しい彼のままで生きて帰って来てくれた。それだけでこんなにも嬉しくて、安心してしまう。
 そして一つ、また覚悟を高めて行く。

 徐晃隊と彼は同じ存在。
 彼自身が王として立てば問題は無くても、きっと本当の主と思える誰かを認めたのなら、自分の命を使い捨ててでも平穏を作り出すだろう。
 誰でも命を賭けているのは当たり前、しかし彼はその線が非常に近い所にあり、簡単に踏み越えて捨ててしまえる。
 だから……そんな状況に陥らせないようにするのが軍師である私の役目。
 全てを読み切り、彼を助けよう。全てを操り、彼を支えよう。
 私は彼と並び立つ鳳凰になるんだ。

「絶対に守り抜いてみせます。あなたが平穏に生きていけるように……」

 ぽつりと、自身の覚悟を静寂の空間に染み込ませる。そして続きの願いは自身の胸の内に。

――願わくば、軍師と将では無く……違う意味でも並び立てますように


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