暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
8.特訓開始、その前に
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イアも。
 理論上では、周りの誰かに出来ることは時間を掛ければ誰にでも出来るということになる。……あくまでも理論上では、だが。

「キリュウさん! 次は何をするんですか?」
「なんか、初めは素振りって聞いてエ〜とか思ってたんスけど……実際にちゃんと剣を振れるようになるって、結構感動するッスね」
「……うん。私、自分がこんな風に動けるなんて思ってもみなかったよ」

 三人は、自身の上達を確かに感じているようだ。それはそれで良い。それは自信となり、敵と対峙するときの勇気となる。
 自信が過信となる場合もあるにはあるが、今は三人に再びモンスターと対峙させ、ちゃんと自分の力で戦わせることが大事なのだ。
 昨日の恐怖を少しでも振り切れるだけの《勇気》に、その自信がなってくれれば良いと俺は思った。





 そうして基本が出来てきた三人に、今度はイノシシとの実戦の手本を見せることにした。
 先ほどイノシシを発見したときは三人とも顔を強張らせていたが、俺が「……よく見ると滑稽な顔をしているな」と明るい所で改めて見たイノシシの感想を呟いたら、いきなり噴き出して大笑いをしだした。 その後はもう先ほどの強張りはなくなっているように見えた。
 特に狙ったわけでは無いのだが、緊張が少しでも解けたなら由としよう。
 そして俺は、三人に話を切り出した。

「……お前たちが実際に戦う前に、俺が一度あのイノシシとの戦いを見せる。……よく相手の動きを見て、自分が戦うときのイメージを固めておくように」

 神妙な顔で頷いた三人に背を向け、俺はすぐ近くを暢気に歩いているイノシシに背後から斬りかかった。

「ぴぎーっ!」

 イノシシは長めに一鳴きして距離をとり、いつも通りの突進を仕掛けてきた。
 このイノシシは、突進の方向を変えるのに必ずその場で止まってから方向転換をするか、または飛行機のように動きながら大きく旋回することで進行方向を変えるようだ。
 俺は、イノシシの突進を斜め前に跳躍して移動することで避け、イノシシが止まってこちらに方向転換をしている隙に、首筋目掛けて側面から袈裟斬りを食らわせた。
 このとき、先ほど三人に教えた素振りと踏み込みを意識して、三人が自分の戦いを上手くイメージ出来る様に攻撃をする。
 イノシシが止まっているときには背後からの連続攻撃。走っている最中ではヒットアンドアウェイのように一撃離脱。
 そうして十回ほど攻撃しただろうか。最後に正面から鼻っ面に刺突を食らわせることで、イノシシは爆散、光滅した。
 俺は胸の前で剣を水平に構えた残心を解き、三人に振り返った。

「ほ……え〜……」
「な、なんか、すごく簡単に倒しちゃったんスけど……」
「……う、うん」

 三人娘は口を開いて呆然としていた。
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