4:少女達の決意
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土下座してまでキリトの助力を頼み込んできたのは、KoB副団長の《閃光》である、アスナだけだったでしょ。アスナを巻き込んじゃったのは、あたし達の方よ。それに……アスナ達ほど強くないあたし達こそ、危険を承知でこの場へ来てるんだから、あんたが気にすることなんてないわよ」
シリカも伸ばしていたブーツの踵を地に降ろして、ピナを撫でながら続いた。
「それに……クラインさん、でしたっけ……。あの剣士さんは、その話を聞いて一緒に行くと言ったあたし達を必死に説得して引き止めていました。それでも、あたし達は居ても立っても居られずにその忠告を断わって、そのままあたし達も飛び出ちゃいましたから……全部が終わったら、後で謝らないとですね……」
リズベットがそっと頭を離して、わたしの横に並んだ。
「そうね……。もしかしたらこの中で、一番キリトを心配してんのは、アイツなのかも知れないわね……」
その言葉に、少しの沈黙が流れる。
「……だけど、わたし達はもう、付いていくと決めたんだから」
わたしは羊皮紙をクルッと巻いて言った。
「クラインさんの分まで、しっかりとキリト君を守ってあげよう、ね?」
二人はわたしを数瞬だけ呆けた表情で見ていたが、同時に顔を引き締め、頷いてくれた。
「はい。……そうです、レベルの数字の差なんて関係ありません。あたしは、あたしがキリトさんへ恩返しがしたくて……」
「ま、正直あたしも……素材の調達云々は建前。なんだかんだであたしも、あいつが大事なヤツになっちゃってるからなー……あははっ」
「ふふっ……みんな、一緒ってことだね」
わたしがそう眉を顰めて苦笑しながら、そう纏めた。
「わたし達、それぞれはたとえ微力でも、それでも……」
ふと、前方の村の続く路地の先を眺める。
そこには、一人でトボトボと此方へと向かって歩いて来るキリトの小さな姿があった。
「――キミを、守る為に」
そしてわたし達は微笑を以ってして、彼――キリトの帰りを迎えたのだった。
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