SAO編
序章 はじまりの街にて
7.二人の決意
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揺れる尻尾でした。
近づいてもこちらを向かないそのモンスターに、ネリーとチマは「先手必勝〜!」と言って剣を叩き付けようとしました。
大きく剣を振りかぶった二人は、慣れてないせいか思うようには扱えなかったらしく、結局そのモンスターに攻撃が当たったのはネリーだけ。
でも、それがいけませんでした。
街を囲う城壁の上から漏れる松明の明かりに照らされて見えた、こちらに振り返るそのモンスターの顔。
不気味、でした。
荒く生々しい息遣いをしながらこちらに向かって走ってくるそのモンスターに、私は悲鳴を上げることも出来ずにその場に佇むだけでした。
――頑張って動かなきゃ。せめて足手纏いにはならないようにしなきゃ。
そう思って行動しようとしましたが、恐怖で足が縺れて倒れてしまい、そのまま動けなくなってしまいました。
そんな私を守ろうと、ネリーやチマがモンスターを引きつけようとしてくれていました。
その光景は、私の昔からのコンプレックスを刺激しました。
気の弱い私をずっと守ってくれてきた奈緒。そんな奈緒に対して劣等感を持ってしまった私。
奈緒に対する感謝の気持ち、奈緒に対する負い目。
この二つの気持ちを抱えたまま私たちは成長し、その二つは消えるどころか大きくなる一方。
そして、それが極まったのが奈緒のHP――命を表す横線がモンスターの攻撃で削れたときでした。
――なんで私は座ってるんだろう。
――なんで私は動かないんだろう。
――なんで私は、奈緒に守ってもらってばっかりなんだろう。
――なんで私は……奈緒を守れないんだろう。
その後、運良くキリュウさんに助けてもらった私たちでしたが、助かった安堵に顔を緩めつつも、私の心の中ではその問いが続いていました。
『お前たちは、どうしたいんだ?』
キリュウさんの問いを聞いた私の頭の中には、今まで想っていたことから一つの言葉が現れていました。
「…………く、なり……いです……」
「え? レイア?」
「へ? 何て言ったッスか?」
「…………」
いきなり小さい声で呟いた私に驚く二人。でも、キリュウさんはしっかりと私の目を見て私の《答え》を待っているようでした。
だから私は、キリュウさんの瞳を見ながら、出来るだけ大きな声で、自分の意思を――自分の《決意》を、言いました。
「……強く、なりたい……です。……私はっ、強く……なりたいんですっ!」
――強くなりたい。奈緒を守れるくらい。一方的に奈緒に守ってもらわなくてもいいくらいに……。
それが、私の今《したいこと》。もう、守られるばかりは嫌だったから。
私の言葉にびっくりしたのか、口をぽかんと開けている二人。
それはそうだと
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