SAO編
序章 はじまりの街にて
6.矛盾
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は高いのか。まあいい。それでもかなり安いほうだろう。
こういう場では、男が金を出すのだと父から聞いたことがある。
先ほどの戦ったことで、所持金は284コルに増えていた。
アイテムストレージに入っている、モンスターを倒したことで手に入れたアイテムを売れば、更に増えるだろう。
俺は目の前に出ているウィンドウの【Yes】に触れた。同時に、チャリンチャリンという音と共に所持金から34コルが引かれる。
「はい、まいど。部屋は二階だからそこの階段から上がっていってね。個室は二〇七号室、三人部屋は二〇一号室よ。間違えないでね」
二〇七、二〇一。頭の中で繰り返し、覚える。
そして俺は振り返って三人に言った。
「……お前たちの部屋は二〇一号室だそうだ。三人一部屋にしたが、構わなかったか?」
「あ、はい! 全然大丈夫です!」
「大丈夫ッス!」
金髪の少女と茶髪の少女が元気良くそう言う。
その横から銀髪の少女がおずおずと口を開いた。
「……あ、あの。お部屋のお代を……」
「あっ! そ、そうですよね。お金お金……」
「あれ? わたしらいくらだったッスか?」
三人は宿の代金を出そうとした。が、それは止めた。
「……別にいい。モンスターを倒したことで多少なりとも金は手に入ったからな」
――槍を買った分にはまだ及ばないが。
その言葉を飲み込み、俺は続けて三人に訊いた。
「……それより、夕食にしたいんだが……お前たちはもう食べたか?」
「あ、いえ。まだです」
「そーいえば、かな〜りお腹減ってるッスね〜」
「……うん。そうだね」
そう言って、同時に自分の腹をさする三人。
「……ここは見ての通り、一階は酒場になっている。疲れたなら二階の部屋に行って休んでもいいし、ここで食事をするのも自由だ」
三人にそう言い捨てて、俺は一つの丸テーブルの椅子へ腰をかけた。
店内にはちらほらと人――プレイヤーと思われる者たちがいる。しかし、皆一様に暗い表情をしていた。
――それもそうか。まだあれから半日も経ってないのだからな……。
あの茅場晶彦の言葉の後、中央広場いた者たちがどうなったのか、俺は知らない。
しかし幾ら絶望していても、ここでは腹も減るし眠気もあらわれる。
そうして行動することを余儀なくされた者たちはどうするのか。どうなってしまうのだろうか。
――いや、他人のことを考えている余裕なんて……俺には無いか。
俺はその考えを振り切るように、首を軽く横に振った。
そして、気分を変えようと店のメニューを見ようとした。したのだが……。
「お腹減ったよねー」
「色々あったからね」
「でもここって仮想なんスよね? 何でお腹空くッスか
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