本編 第一部
三章 「戦火の暗殺者」
第十九話「影の薄い少女」
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く癖がある。目線が校庭のグラウンドを捉える。するとそこにはなにか白いラインが眼に入った。
それを追っていくと霧の濃いなか、このグラウンド全体に魔方陣のようなもの校庭でよく使われる白い石灰で描かれているのに気がついた。
「これって……?」
遥は、そのとき悟った。これって私がよく読んでいるファンタジーの魔法使いが書く魔方陣じゃない?形も書かれている文字も全然違うけど。もしかしたら、このラインは、目の前の霧の化け物を呼び出している魔方陣じゃないか。なら、この魔方陣を少しでも削り取れば。遥は、足で魔方陣に一部を消してみた。するとグゴゴゴゴと苦しみ始める化け物の姿があった。やっぱり。この魔方陣を消してしまえばこの化け物はここにいられなくなって消えちゃうんだ。
「まさか、魔方陣にきづくとは、そこな娘。もう一度でも魔方陣のラインに触れてみろ。こいつの具象定着には、人間の生贄が必要なのだ。まさか、いち早く、外の異変に気づいて、魔方陣の存在まで感づかれるとは。私も、ぬかったものよ」
「あなた。なんなんですか?これはあなたが?すぐに今やろうとしていることを止めてください!はやくしないと学校のみんなが!」
「だから、その学校のみんなを襲うのが私の役目なのだよ。我は、大いなる器の少女を殺すためにきたのだ。法王庁が動き始めている。われらの崇拝せし神がもうまもなく降臨するというのに。あの少女の眠る、聖獣は、我が神の敵!敵は滅さねばならぬ、灰は灰に、塵は塵に!」
そいつは、黒いローブを着て、顔全体をローブのフードで覆っているので顔が分からない。そいつは、腰の剣を抜き放つとに向けた。向けられた剣が一瞬キラリと光って遥は、身動きが出来なくなった。
「ここは、私の術の力が強くなるようにあらかじめ、準備しておいた地なのだ。我が剣は、この場に充満する、こいつの魔力を受けて人間一人くらい金縛りにするのは容易い。悪いがおまえは人質になってもらう。あの者も生徒が人質となっては、思うようにいくまいて」
遥の体は蛇ににらまれたように身動き一つとれなくなってそのまま、宙に浮き上がった。
「な、どうなってるの!?」
「はは、良いことを思いついた。この娘を霊媒に使って、さらに強い結界を張ってやろう」
遥は校庭のちょうど真上までつるし上げられあまりの高さ、足がすくんでしまっていた。そして剣の先から発せられる何かに自分がのっとられていくのを感じた。その気配は学校全体をすっぽり覆うと織花はじぶんにものすごい何かの力がかかっているのを感じる。まるで、空気がとたんに重くなって自分、圧迫しているようだ。息がつまるような苦しさに襲われ、どうすることもできない。
「さあ、どうするバハムートの娘よ」
校庭に出てきた生徒たちは、骸骨の霧に、気づかずにどんどん霧の中へ入っていく。そして静寂がしずか
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