第二章 七話 駆け抜けるバウンゼィ
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開き直った顔でこう告げた。
「いや、まだだ。勝てはしなくてもせめて完走してやろうじゃねえか。」
「はぁ......仕方ありませんね。びりにはなりたくありませんし余力を振り絞るとしますか。」
こうして、戦闘でかなり損傷したバウンゼィはふらつきながもレースへと復帰して行った。
*
バウンゼィ 倉庫
先程まで凄まじいまでの火力の応酬が行われていた倉庫では、すでに海賊の死体の処理が行われていた。
と言っても、宇宙空間でできることなど一纏めにしてエア・ロックから放り出すくらいのことしかできないが。
「ううっ......金臭ぇ......」
クルーの一人が不平不満を述べなからも死体を纏めてエア・ロックに押し出す。
「いいぞー。やってくれ。」
合図を送ると、エア・ロックのスイッチの近くにいた別のクルーがロックを解放する。
海賊共の死体は空気と共に吸い出されて真空の空間を漂う。
一瞬、海賊の恨みがましい目が自分を見つめた気がしてクルーは身震いする。
「そんな目で見なさんな......あんたらが勝ったら同じことしてたろう......」
クルーは海賊の怨嗟を断ち切るかのようにエア・ロックの扉をいささか乱暴にドアを閉めたのだった。
*
惑星ニーズ 宇宙港
「ゴール!いま、熾烈なデッドヒートを制して一位の船が入港しました!一位はフリーの0Gドッグ、カーマイン氏です!」
ギリアスが白兵戦に及んでいた頃、レースのゴール地点惑星ニーズでは既に一位の栄光を掴んだ0Gドッグの船が入港していた。どうやら大マゼランのエンデミオン大公国の巡洋艦【ベートリア級】に速力重視の改良を施したものらしい。
ノーマルの赤のカラーリングから緑へとリペイントされているのが外見上の差異である。
「続いて二位!やはりフリーのハミルトン!乗艦はキャロット!」
次に入港してきたのは大マゼラン、ロンディバルドの駆逐艦【バーゼル級】である。
基本設計が優れ、民間でも多用されている万能艦である。
腕の立つ0Gドッグが操ればレースにおいて相応の結果を残せる優良艦である。
「お次は三位!アッシュのメーリス号!スポンサーは大マゼランの造船会社【モリガン・コリエステ】です!」
スポーツカーで行われるF1のようなレースでもスポンサーというやつは必ずいる。スペースシップレースでは個人所有の艦が多く参加し幅をきかせるが造船会社達も会社の威信にかけて最高の艦に資金の許しうる限り改造を施すのでほぼ確実に上位に食い込んでいる。
ちなみにメーリス号はネージリットの【エスターク級】巡洋艦。無論速力重視の改良が施してある。
その後も次々に上位の艦船が入港してくる。時には速力重視の艦があり、また時には高名な0G
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