第二章 七話 駆け抜けるバウンゼィ
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ネージリンス本星宙域
バウンゼィ ブリッジ
「艦長、航路算出完了しました。」
「よぉし、でやがったか。進路を変更する。先頭集団に食らいつくぜ!」
「了解!」
ギリアスは愛艦バウンゼィのブリッジの中心で仁王立ちしながら部下がモニターに回してきた航路図を見てそう指示を下した。
宇宙空間での長距離航行を行う場合、航路の選択によって目的地に対する到着時間が数日単位で変遷するのである。
なので、ギリアスは航海班に命じて惑星アークネージから今回のレースの目的惑星である惑星ニーズへの最短ルートを算出させたのである。
「これで勝つ。」
静かに、自信を込めてギリアスはそう呟く。
バウンゼィはギリアス個人の嗜好や戦闘スタイルから完全なる戦闘艦に改造されている。そのうえ、白野の薫陶を受けて単艦で戦闘を行う際には機動力がものを言うと言うことを理解したので、航海艦橋やスラスター制御室などを追加搭載して機動力と巡航速度を上げてあるのだ。
元々巡洋艦であるということもあり、破格の速度を持っているとギリアスはそう自負している。事実に基づく自負である。
「進路変更。惑星ニーズへは、恒星ハルバーシュタットの重力圏の脇を横切る形で向かいます。」
「恒星の重力を逆用して加速するって訳か。」
「ええ。かなりの加速が見込めます。問題は同じことを考えるのは我々だけだはないということです。」
「重力圏に引かれれば、減速は免れ得ません。他艦からの妨害には十分警戒する必要があります。」
「そうだな。レーダー監視は厳に固定しとけ。」
「了解です。」
*
恒星ハルバーシュタット
ネージリンス本星宙域に存在する恒星ハルバーシュタットは太陽クラスの大きさを持つ恒星である。
しかし、宇宙航行技術の飛躍的発展によりその重力圏を突き抜けるくらいはこの時代の艦船ならどうということはない。
むしろマゼラニックストリームのヴァナージのような星が異常なのである。
そこにギリアスのバウゼィは侵入しつつあった。
「レーダーに反応あり。四隻の巡洋艦を確認しました。艦種識別......すべて大マゼランのリークフレア級です。」
「リークフレア級か......こっちも巡洋艦だ。速力で負けるわけにはいかねえ。」
「向こうはまだこちらを捉えてはいないようです。ここからなら重力圏を逆用して一気に引き離せますが......」
「やっちまおう。これから先、まだまだ抜かなきゃならねえ。」
「アイアイサー。機関全速。前の奴らを抜きされ!」
バウンゼィのブースターに同時に火が付く。巡洋艦に相応しい加速性能を遺憾無く発揮し、前方に見えるリークフレア級との距離をグイグイと縮めてゆく。
この時点でようやくバウンゼィの接近
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