第142話
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狙撃する訳にもいかないからな。
その説得をすることになったのが・・・・」
「黄泉川になった、て所か。」
「もちろん、指名された訳でもなく自分からやると言い出したんだ。
あいつ、子供とか大好きだからな。
どうしても自分の手で止めたかったんだろうな。
そうして、説得するようにその能力者に近づいたんだが、能力者は興奮状態で話すら聞かない状態だった。
一旦、愛穂を呼び戻そうと他の警備員が動き出した瞬間だった。
能力者から見れば何かをしてくるのか?、と勘違いしてな。
完全にパニックになって人質に能力を向けようとしたんだ。
愛穂は持っている拳銃を手に取って、能力者に向けて発砲した。
威嚇射撃のつもりだった。
一瞬でも気を逸らして、自分が突撃するつもりだったらしい。
けど、拳銃を見た能力者は避けようとして動き、当たる筈のない銃弾が能力者の額に当たったんだ。」
「・・・・・・」
そこでようやく、一方通行は麻生の方に視線を向ける。
麻生は人通りを見ながら、表情を変えずに言葉を続ける。
「対能力者装備だったから、かなりのダメージだったらしくてな。
すぐに病院に運ばれた。
幸いにも死ぬようなことはなかったが、一歩間違えれば死んでいたかもしれない。
一命をとり止めたという知らせが来るまでの愛穂は酷い有様だった。
泣いて、祈るようにその知らせを待っていたよ。
それ以来、あいつは子供に武器を向けることはしなくなった。
自分が傷付くと分かっていも、向ける事はなかった。」
話は終わると二人は口を閉ざし、再び無言の空気が流れる。
その時、一方通行の電話が鳴り響く。
相手は黄泉川愛穂のようだ。
二、三会話をして、通話を終える。
「何て?」
「解析した結果、地下街にあのガキはいるンだとよ。
ただ、あのガキの事だ。
飽きて、外に出ている可能性もある。」
「んじゃあ、お前は地下街に行け。
俺は近くを捜索する。」
そう言って二人は分かれる。
「一方通行。」
後ろから麻生の呼ぶ声が聞こえ、一方通行は振り返る。
「愛穂をあまり苛めるなよ。」
それだけ言って、麻生が人混みの中に消えてしまう。
一方通行はその言葉を聞いて、軽く笑みを浮かべる。
彼らしからぬ笑みを浮かべて言う。
「保障ォはできねェな。」
聞える筈のない声でそう言う。
彼もそのまま地下街に向かうのだった。
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