暁 〜小説投稿サイト〜
Element Magic Trinity
きれいな声
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
っ!」

蹴りに続けて拳が決まる。

「あははははっ!いい気味ー!」
「いいきみ・・・」

大笑いするエンジェル。
それに同意するかのように、ヒビキが小さい笑みと共に呟いた。

「がはっ、ゲホッゲホッ」

ルーシィは倒れない。
どれだけ蹴られようとも、エンジェルを睨みつける。

「な〜に?その目。ムカツクゾ」

目を細め、エンジェルが問う。
ルーシィはそれに答えず、ただ一言言い放った。

「アリエスを解放して」

体を小刻みに震わせながら、ルーシィは言い放つ。

「は?」
「あのコ・・・前の所有者(オーナー)にいじめられてて・・・」

酷すぎるカレンからの仕打ちをルーシィは知っていた。
そして今、エンジェルからも酷い仕打ちを受けていた。
これ以上アリエスに辛い思いをしてほしくない・・・ルーシィは解放を願う。

「きゃあああああああああああっ!」

その左腕を、ジェミニルーシィがカエルムで斬り付けた。
溢れる血を抑えるように右手で傷を抑える。

「人にものを頼む時は何て言うのかな?」

溜息をつきながらエンジェルは言う。
傷を抑えたまま、ルーシィは頭を下げた。

「お・・・願い・・・します・・・」

出血は止まらない。
傷は痛む。
だけど、アリエスを解放してほしいという思いは変わらない。

レオ(ロキ)と一緒にいさせてあげたいの・・・それが出来るのは、あたし達星霊魔導士だけなんだ・・・」

目から涙を溢れさせ、ルーシィは願う。
ロキと敵対するなんてアリエスは望んでいない。
ロキもアリエスも、一緒にいる事を望んでいるはずだ。

「ただで?」
「何でもあげる・・・鍵以外なら、あたしの何でもあげる!」

星霊同士が一緒にいられるのなら、何もいらない。
ルーシィは涙を流し、叫んだ。

「じゃあ命ね」

――――しかし、その願いをエンジェルは一言で切り捨てる。
ルーシィが死んだ場合、所有者(オーナー)を失った星霊達は契約が解除される。
そうすればルーシィの持つ鍵は全てエンジェルのものとなるのだ。

「ジェミニ、やりなさい!」

今のルーシィに次の攻撃を避ける力はない。
所有者(オーナー)の命令に従い、ジェミニルーシィはゆっくりとカエルムを持つ右腕を上げた。

――――――そして、止まる。

「ジェミニ!?」

動きを止めたジェミニにエンジェルが声を掛ける。
目の前で座り込むルーシィを、ジェミニはぷるぷると小刻みに震えながら見つめていた。
その口が、ゆっくりと開かれる。

「きれいな声が・・・頭の中に響くんだ」

ルーシィの声とジェミニの声が重なる。
ジェミニはコピーした人間の容姿・能力・思考を始めとする全て
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ