第百二話 幻影と現実
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う警告される。
『――――ブーメラン!?』
機械との接続によって視界も機体のカメラと繋がれ非常に広いモノとなっているが、人の元々の視野は左右120度程度でしかないのだ。本来見えない物を見るというのは空間認識などといった特別な才能のないクラウに上手く出来る事ではない(だからこそ、ドラグーン搭載機ではなく一般的な武装しか取り付けられていないのだが)。
「吹き飛べェ!」
後ろのブーメランと同時に突き出される左腕。クラウはAIによる思考の加速を強制的に行わせることで回避しきった。
『ハァハァ……少し焦ったが、メサイアが発射されないというのなら俺自身の手で斃すまでの事だ』
回避の際にかかった多大なGや、神経を繋げている事による弊害(多量の情報や頭の中で強制的に展開される数値等)のせいもあってか疲弊しつつも、己の意思を再決定させるクラウ。
『何だ簡単なことじゃないか。焦っていたのが馬鹿らしい……』
一旦落ち付けば思考によるデメリットなど簡単に打ち消される。クラウはこれまでと違い、時間を稼ぐための戦いではなく、落とすための戦い方に切り替えた。
『戦い方が変わった!?』
シールドを破壊された以上、長期的で防御主体の戦い方は不利。その上メサイアからネオ・ジェネシスが発射されることが無いのであれば速攻を仕掛けるのは当然の判断と言えるだろう。それにキラは翻弄される。
シンもビームライフルで攻撃を仕掛けるのだが、主力武装であるアロンダイトや収束ビーム砲が破壊されてしまった事で積極的な攻勢に回れずにいた。
「――――?」
しかし、戦闘を続けながらシンはふとした違和感を感じた。いや、違和感と呼べるほど大きなものではない。感じたのは感覚的なブレ。シンはそれが直感的に何なのかを察する。
「もしかしたら……」
今の状況を打破できるかもしれない。そう思わせる何かがシンにはあった。
「フリーダムのパイロット!アンタに合わせてやるから、そっちもタイミングを計って撃てよ!」
キラの返答などお構いなしにとばかりにビームブーメランをサーベル状に展開して構える。
『その程度で何を?』
クラウは単純に突撃してきたシンを見て訝しむ。とはいえ、対応しないわけにもいかない。攻撃を躱し、逆にナギナタで切り裂こうとした。だが、シンが後ろからキラの放った攻撃を予測して躱し、不意を突く様に攻撃を繋げた。
『チッ!今更連携に走るか!』
気に入らないな、と思いつつ即興で合わせた程度の連携など意味はないと反撃を仕掛ける。だが、そうやって複数方向に注意を向かせるのがシンの狙いだった。
「ここッ!」
光の翼によって幻影が生まれる。どころか高い熱力を排熱するために剥離装甲が外れ、センサーでは実態だと誤
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