第二十四話 自分自身
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・・何も、知らねぇんだ。だから、少しでも情報になりそうな事があったら探りたいんだけど、その情報は、必ず俺から遠ざかっていくんだ・・・・・」
シンは顔を顰め、固く拳を握り締めると、
シ「俺は、永遠に謎に満ちた空間を彷徨い続けているんだ・・・」
悔しそうに、でも、どこか悲しそうな表情で小さく呟いた。
ル「シン・・・」
今の私には、シンの力にはなれない。私も、シンの事をまだよく知らない。それは私だけじゃない。ナツやハッピー、グレイやエルザに、ウェンディやシャルル。妖精の尻尾の皆や、マグノリアの人達も、シンの事をまだよく知らない。
同じなんだ・・・シンも、私も。皆も・・・・・
ナ「おーいルーシィ!シーン!」
ウェ「列車発車しちゃいますよぉ〜!」
グ「急がねぇと乗り遅れるぞ〜!」
ハ「早く早く〜!」
駅の方からナツ達の声が聞こえた。ヤバイ!列車が発車しちゃう!
ル「シン!駅まで走る・・・・シン?」
私は言いかけた言葉を止めた。なぜかと言うと、シンが今までで見た事の無いくらい真剣な顔をしていたから。
シ「ルーシィ・・・・」
シンは私の名前を呼ぶと、赤い瞳を少し細め、口元を緩めると、
シ「・・俺は、いったい、何者何だ・・・?」
私とシンの間を静かに風が通り、私とシンの髪をなびかせた。私は突然すぎる意味不明なシンの問いに戸惑う。が、それはほんの一瞬だけ。私はシンと同じように茶色がかった瞳を少し細め、口元を緩めると、
ル「シンはシンよ。」
シ「!」
ル「もっと的確に言えば、シンは自分自身よ。家族・仲間思いで、正義感があって、強くて、優しくて、頼りがいがあって・・・」
私は目を瞑りながらシンの良い所を思いつくだけ口に出す。目を瞑ってても分かる。目の前にいるシンが驚いているのが・・・・私はゆっくりと目を開ける。やっぱり、シンは赤い瞳を少し見開いて驚いていた。
ル「シン、これが私が思うあなた自身の魅力。シンは素敵な魅力をたくさん持っているの。」
私はシンに歩み寄り、シンの右肩に優しく手を置く。
ル「シン、自分を信じて。もし、自分が自分だと信じられなくなったとしても、シンの周りには妖精の尻尾の皆が、家族がいる。私達が、必ずシンを助ける。その事を、忘れないで。」
シンは硬直したみたいに瞬き一つせず黙っていたけど、しばらくした後、ゆっくりと大きく頷いた。
ル「よしっ!じゃあ全速力で駅まで競争よっ!!」
シ「えっ?ちょっ、ルーシィ待っ・・・!」
ル「よぉ〜
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