二学期
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「これで二回目だがどうする? もうやめてみるか?」
苦しむ一夏に響は冷然と言い放つが、一夏は膝をガクガクとさせたまま何とか立ち上がると、
「まだだ。これぐらいじゃ諦めない」
「いいねぇ。そういう負けず嫌いなのは嫌いじゃないぜ?」
響が言ってみるものの、一夏は先ほどまでとは比べ物にならないほど集中しているのか、無言で返した。しかし、鳩尾に喰らった一撃はいっこうにひくことはせず未だにズキズキと痛む。
……なんて力だ。力だけなら千冬姉以上かもしれない。それに響の攻撃が全く読めない。
一夏は響を見据えているものの、内心ではかなり焦っていた。普通、格闘技などではそれなりに相手の動きが読めるものなのだが、響の動きは読めないのだ。
そんな一夏の心を読んだかのように、楯無は笑みをこぼした。
……かなり焦ってるみたいだね一夏くん。そりゃあそうだよね、だって響ちゃんの戦闘方法って確かに殴る蹴るだけど、格闘技や武術みたいに型にはまってない喧嘩から派生した戦い方だもんね。
「喧嘩を本気になってしたことがないとアレは読むの難しいかもね」
楯無は呟くものの、恐らく一夏には聞こえていないだろう。
すると、一夏は二回大きく深呼吸をして呼吸を整えた。
……落ち着け、攻撃が読めないからって焦るな。響だって人間だ、何も魔物や妖怪と戦ってるわけじゃないんだ。
自分に言い聞かせた一夏は響を真っ向から見据えると、一気に駆け出した。響もそれとほぼ同時に駆け出した。彼はその時見た。いや、見てしまった。響が浮かべていた笑顔を。
「いい思い切りだけどまだまだなんだよなぁ。まぁ今回は残念てことにしといてくれや」
戦慄を覚えるような冷徹な響の声が聞こえたかと思うと、一夏の頬に響の拳が叩き込まれた。抉るように放たれた拳に一夏はなす術もなく、そのまま後ろに大きく吹っ飛ばされた。
「ほい終了。残念だが一夏、お前が弱いのは撤回しねぇぞ。それが悔しいなら楯無に鍛えてもらって少しはマシになってこいや」
響は壁に背を預けた状態で気を失っている一夏に言い放つと、くるりと踵を返し、楯無の元に行った。
「こんな感じでいいんだろ楯無」
「うん、十分だよ。ただ……ちょっとやりすぎちゃった感じはあるけども」
「平気だろ。アレでもかなり手加減したし。頬が腫れるぐらいだ、骨もイってねぇだろうし、歯も無事だろうさ」
「アレで手加減……」
響の発言に楯無は内心でゾッとしたが、すぐにそれを振り払うと、
「さて、じゃあ響ちゃんはもう帰っていいよ。一夏くんの手当ては私がしとくから」
「ああ。またな楯無」
響は言うと、そのまま更衣室で着替えると道場を後にした。
その
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