二学期
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ている。しかし、なぜかいつもいるはずの楯無の姿が見られなかった。
「そういや楯無はどうかしたんですか?」
「たぶん織斑君のところに行ってるんじゃないかしら。……ねぇ鳴雨さん? 前々から気になっていたんだけれど、なんで私の時は敬語なのかしら?」
「え……それは、なんつーか……。先輩ですし」
「それならお嬢様もそうだと思うのだけれど」
虚の素朴な疑問に響は眉間に皺を寄せ「うーん」と唸る。
「たぶん、虚さんの言葉遣いってーか雰囲気的な感じで自動的にこうなってるんだと思います」
「なるほど……鳴雨さんはけっこう敬語に弱いのね」
「そう……かもしれないッスね」
響がそこまで言ったところで生徒会室の扉が開け放たれ、響と虚はそちらに目を向けた。
「ただいまー」
「おかえりなさい、会長」
入ってきた楯無に虚が頭を下げて挨拶をした。そして、楯無に続くように入ってきたのは一夏だった。
「失礼しまー……って響!? なんで生徒会室にいるんだ!?」
「デケー声出すなうるせぇな、しばくぞ」
頭をガリガリと掻きながら机に足をのせた響は一夏を横目で見つつ、彼に言う。
「アレだ、私も一応生徒会の役員って事だ」
「いつの間になったんだ?」
「4月の最後の方だったかな。そこにいる会長サマにほぼ強制的に入れられたんだよ」
響は椅子に座る楯無を顎で指しながら告げるが、楯無は相変わらず笑みを浮かべていた。響はそれに溜息をしつつも一夏を促した。
「いつまでもそこに突っ立ってねーでテキトーに座れよ」
「あ、あぁ」
一夏は若干ぎこちない動きで空いている席に腰を下ろした。
すると、虚とそれに続くようにフラフラしながら本音がやって来た。二人はそれぞれトレイを持っており、ケーキとティーセットがのっていた。
「さて、まずは紅茶でも飲んでリラックスしましょうか」
そう言った楯無は紅茶の注がれたティーカップを傾け、一口口に含んだ。その姿はまさにいい所のお嬢さまと言った感じで、かなり優雅だった。
しかし、一夏の目の前にだらりとした様子で座る響は紅茶を音をたてて啜っているし、隣に座っている本音も本音でケーキにまかれているフィルムをぺろぺろと一心不乱に舐めている。
「さて、じゃあ何で一夏くんを学園祭での争奪戦の景品にしたかって言うとね。まぁ一夏くんが部活動に入っていないから、部活に入ってる子たちから苦情が殺到しちゃってねー。ねぇ響ちゃん」
「何で私に振るんだよ」
「だって苦情が書かれた書類整理したの響ちゃんだし」
「そういやそうだったな……。まぁ結構きてたぜ。吐き気がするぐらいには」
肩を竦めながらケーキを一口頬張る響に楯
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