第13話 死亡確率99.9%!? 男は最後まで諦めず走り続ける生き物也
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たい。そんな番とバンチョウの喧嘩を音で察知した真と恵であったが、そんな事など既に日常茶飯事ならしく、無視する事にした。
「相変わらず兄ちゃんもバンチョウも元気だなぁ」
「そうね、番は後で後片付けをして貰うとしましょうか」
二人でそう言いながら夕食の支度をする事になった。恵が鍋にて味付けをしているその横で真が包丁で具材を適度な大きさに切り刻んでいく。
意外な話なのだが、轟家で料理が出来るのは恵と真のみ。番が料理をした場合、包丁で何故か食材を切らずにまな板を粉々にしてしまったり、鍋で煮込んだ際鍋が爆発してしまったり、米を炊いた際には米が弾丸の如き炊飯器から飛び出す始末。とにかく番が料理を作った場合何故か殺人兵器は作れるのだが普通の料理は一切作れないと言う摩訶不思議な事になってしまうのだ。
そんな訳で恵と真の二人が夕食ですき焼きの用意をしている矢先の事であった。誰かが轟家の入り口を叩く音が響く。時刻からして夕方の五時。一体誰が来たのだろうか?
回覧板ではないのは確実だが、もしかして訪問販売の類なのだろうか?
「誰かしら? ちょっと見てくるからお願いね真」
「合点だぜ母ちゃん!」
一旦仕込みを真に任せた恵が入り口に向い訪問者を出迎える。
「はい、どちら様でしょうか?」
「すいません、ちょっと道を聞きたいのですが」
どうやら道に迷ったのだろう。見ればスーツ姿の若い男性だった。年齢からして二十代前半だろう。恐らく仕事で訪れたのだが初めての場所な為に地理がない、と言うのが大まかな理由であろう。
「えぇ、何処に行きたいのですか?」
「はい、轟さんのお宅を探しているのですが?」
「轟でしたら、家ですけど―――」
「はい、存じ上げてますよぉ、貴方の事もね」
男が意味深な事を言った矢先の事だった。突如男がポケットから何かを取り出して、それを恵に噴き掛けてきた。白いガス状のそれを突然目の前に噴出され、思いっきり吸い込んでしまった恵は、そのまま意識を失い倒れこんでしまった。そんな恵みを男は見事にキャッチする。
「母ちゃん、仕込み終わったけどまだ話続く……」
丁度その時、真が心配になって見に来た際、彼が見たのは謎の男に誘拐される寸前の母恵の姿だった。
「か、母ちゃん!」
「ふん、小僧に用はない。この女を返して欲しければ此処に来いと貴様の兄に伝えろ!」
そう言い、男は足元に一枚の紙切れを落とす、その直後、突如として男の靴の裏側から猛烈な何かが噴出し、母恵ごと夕暮れの空の彼方へと飛び去ってしまった。
「か、母ちゃん! 母ちゃんが謎のリーマン野郎に連れて行かれたぁぁぁ!」
驚き絶叫してしまった真。だが、そんな事をしている場合じゃない。奴は兄、即ち番を連れて来いと言って来た。となればこの状況を打破できるのは兄である番しか居ない
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