第13話 死亡確率99.9%!? 男は最後まで諦めず走り続ける生き物也
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たり前じゃねぇかお袋! その袋の中から肉特有の芳醇で血の滾る食欲をそそる香りがプンプンするんだからよぉ! しかもこの臭いから察して、牛肉だな!」
「うん、賞味期限ギリギリだったんだけど、高級松坂牛を貰ったんだ。今夜はこれですき焼きでもしようかなって思ってね」
「す、すき焼きぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
番のテンションは最高潮に達しようとしていた。
あぁ、すき焼き。ビバ、すき焼き。
この言葉に心躍る人は一体何人居るだろうか。いや、寧ろ踊らない人など居ない筈だ。
何故なら、すき焼きは古くから日本の伝統に染み渡っている料理なのだから。肉と野菜、そして白滝と豆腐が絶妙のバランスで鍋を色取り、それをこれまた良い塩梅で味付けられただし汁の中でじっくりと煮込まれていく。
そうする事で食材の旨味が汁に溶け込み合わさり、更に味を引き立てる要因となる。
正に至極の一品。それがすき焼きなのだ。
「兄ちゃん、俺今生きてて本当に良かったって心の底から思えるよ!」
「おうよ真、俺達は今人生と言う名の快楽の前に立ってるんだ! これが喜ばずに居られるかってんだぁ!」
互いに抱き合いながら喜びの絶頂に居る番と真。二人にとってすき焼きなど何年以来かと思える位久しぶりな代物だったりする。
「ところでよぉ、駒木のおっちゃんはどうしたんだ? これだけの功績を成し遂げたんだ。おっちゃんだってすき焼きを食う資格があるだろうによぉ」
「う〜ん、万引き犯逮捕したのは良かったんだけど、あんまりにもやり過ぎたせいか警察署に出頭命令が下ったみたいでね。帰ってくるのは丁度夕食時になるかもって言ってたよ」
「やれやれ、おっちゃんも災難だなぁ〜。ま、俺が言えた義理じゃねぇけどよ」
三人揃って帰り道を行きながら和気藹々と話しをしている。平和な家族の光景の様にも見えた。
と、言うかそのまんまなのだが。
「兄ちゃんって母ちゃんが入院してた頃しょっちゅうおっちゃんに逮捕されてたよね。あれなんでなの?」
「あぁ、あん時ぁ喧嘩ばっかやってた上に、ちとやりすぎてた節があってよぉ。流石におっちゃんも黙って見過ごすって訳にゃいかなかったらしいぜ」
どうやら番自身も何度か警察の世話になっていたようだ。流石は番長なだけはある。しかし番の過去は一体どんな凄惨な過去だったのだろうか?
それを語るのはまた後々って事にしよう。面白い話は後でとっておくに限るのだから。
「あんまり駒木さんに迷惑かけちゃ駄目よ。今の私達の生活はあの人の稼ぎがあってこそなんだから」
「わぁってるよお袋。駒木のおっちゃんには足向けて寝らんねぇよ。それ位、俺達はおっちゃんに助けられてんだ。大したおっちゃんだよ。家のクソ親父と違ってさ」
一瞬だが、番の顔が暗く沈んだ。真は知らないが、番だけは知っている暗い記憶がある
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