第13話 死亡確率99.9%!? 男は最後まで諦めず走り続ける生き物也
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ねぇよ……このクソ親父ぃぃぃぃぃぃ!」
天に向かい怒号を張り上げる。それと同時に番の巨体が起き上がり、大地に二本の足を突き立てて立ち上がったではないか。
「な、何だ! 何が起こったと言うんだ!」
「ば、番……お前―――」
ゴクアク星王と駒木の目の前で、番の体が烈火の如く燃え上がっているのが見えた。その炎を纏ったまま、番はガラスケースに向い突撃していく。その間にも刃物は容赦なく番に向い放たれている。だが、その刃物が番に突き刺さるよりも前に体の周囲を纏っていた真っ赤なオーラがそれらを一瞬の内に溶かして蒸発させてしまうのだ。
何者も番の行く手を阻む事など出来なかったのである。
「うおおおおりゃぁぁぁ!」
そのままの勢いで番は拳をガラスの壁に叩き付けた。硬化ガラスで作られた壁に亀裂が走り、その亀裂は壁全体へと行き渡り、やがて音を立てて崩壊した、部屋へと入った番に向かいマシンアームが押し寄せて来るが、これもまた同じだった。番の体に触れる事なく溶けてなくなってしまう。まるで太陽のようだった。
番はゆっくりとはは恵に近づき、彼女をそっと抱き上げた。
「すまねぇ、お袋。こんなクソガキの母親なんかやっちまった為に苦労ばっかかけちまってよぉ」
母を抱き抱えながら番はその部屋を後にした。そして、そのまま駒木の下へと歩み寄ろうとした番に向いゴクアク星王が怒号を放った。
「待ちやがれ! この俺を無視して帰れると思ってんのか? この俺が合図すりゃ宇宙中の猛者達がてめぇを殺しに来るんだぞ? それが嫌なら大人しくしてその女を渡せ!」
「やれるもんならやってみろ。ただし、そん時ぁいの一番にてめぇをぶち殺すぞ!」
「ぐっ、ぐぐぐぅぅぅ……」
ゴクアク星王は出来なかった。もし、仮に此処で増援を呼べばもしかしたら番を亡き者に出来ただろう。だが、その場合自分の命も危うくなる。
下手な橋を渡るわけにはいかないのだ。
「番」
「帰ろうぜ、駒木さん。早くしねぇとすき焼きが冷めちまうよ」
「あぁ、そうだな」
ゴクアク星王を倒す気などない。倒そうと思えば何時でも倒せる。だが、今の番にとってはそんな事重要な事じゃない。今彼が必要なのは母を無事に家に送り届ける事。そして、すき焼きを食べる事なのだから。
***
「うんめええええええええええ!」
無事に帰宅した番と駒木、そして恵は留守番をしつつ支度をしてくれていた真を入れて四人ですき焼きを囲んで食べていた。
「美味ぇ、久しぶりの肉の味だぁ。俺生きてて本当に良かったぁぁ!」
「俺も俺もぉ、やっぱ飯ってのはこうでなくっちゃいけないよなぁ」
久しぶりのすき焼きに舌鼓を打つ番と真。相当嬉しかったのだろう。
その光景を微笑みながら眺めている駒木と恵。
「あ、
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