第13話 死亡確率99.9%!? 男は最後まで諦めず走り続ける生き物也
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「お、お袋!」
「恵さん!」
番と駒木の両者が叫ぶ。だが、硬化ガラス製の壁に遮られてか二人の声は全く届く事はない。未だに恵は目覚めぬままその台の上で眠っているままだった。まさか死んでいるのではないだろうか?
「安心しろ、死んではいない。地球人の中にも高値で売れる人種が居るんでな。この女はその部類に入っている」
「てめぇ、人のお袋を売り渡すつもりなのか!?」
「ふん、だがこの女の心臓は使い物にならんな。余りにも弱すぎる! 売る前に改造した方が良いな」
「止めろてめぇ! お袋に手ぇ出すんじゃねぇ!」
番が近づこうとしたが、そんな番に向いまたしても刃物が周囲から放たれ、更に大量に突き刺さった。
「安心して其処でくたばってろ! この女は俺様が大切に保管した後に高値で売り払ってやる! ははは、俺様は何て寛大なんだ。余りに寛大すぎて涙が止まらないだろう!」
自己陶酔しきっている。こいつに何を言っても無駄だった。だが、近づこうとすれば周囲から飛び出す刃物の餌食となる。それにこの刃物にはどうやら毒が塗られているらしく、先ほどから体中に猛烈な痺れが訪れているのが分かる。最早手足の感覚すらなくなり始めていた。
「くそっ、恵さん……目の前にして……俺はぁ……」
「お、お袋ぉぉ……」
「お前達は売り物にはならんから、後でゴミ処理だ。さて、さっさとこの女の心臓を摘出せねばならなんな。処置を開始しろ!」
合図と共に恵の居る部屋一杯に機械のアームが姿を現す。そのどのアームにも不気味な器具が取り付けられていた。ナイフ、メス、注射器、ペンチ他多数。
それらを用いて恵の体を切り裂き、心臓を摘出した後に別の心臓を入れ替えようと言うのだろうか。そんな暴挙を断じて許す訳にはいかない。
だが、哀れな事に番は既に動く事すら出来ない状態だった。
手足の痺れが限界にまで達し始めている。それに呼応して意識までもが混沌とし始めてきた。
(くそっ、此処までなのかよ……すまねぇ、お袋……)
悔しさが心を支配していく。目蓋が徐々に閉じて行く。やがて、番の目の前を漆黒の闇が支配していった。
後は、不気味な機械音だけが耳に轟くばかりだった。
【どうした? その程度なのか?】
声が、声が響いた。耳にじゃない。脳に直接響くような声だった。
そして、この声には何処か聞き覚えがあった。
【そんな程度の事で諦めるのか? それでも男か? この軟弱者が!】
「なん……だとぉ!」
その言葉を耳にした途端、番の中で何かが震え上がっていくのが分かった。それは番自身にも分かる。そして、それらの全ての元凶はその声にあるのだ。
【立て、男なら立って見せろ! 立って俺にその姿を見せてみろ。我が息子よ!】
「偉そうな事べらべらと並べやがって……人の頭にまで出てくるんじゃ
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