第百五十三話 雲霞の如くその十三
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「顕如、頭をどうするかじゃ」
「本願寺の法主のですな」
「あの者をですな」
「越前、加賀を収めればじゃ」
その次はだ、いよいよだった。
「摂津に向かうぞ」
「そして顕如とですか」
「いよいよ」
「出来れば石山御坊を陥とすか明け渡させる」
難攻不落の城塞と化しているこの城からというのだ。
「そのうえでじゃ」
「あの者を動けなくする」
「そうされますか」
「所詮門徒達は手足じゃ、しかもじゃ」
ただの手足ではないというのだ、ではどういった手足かというと。
「幾らでも生えてくるな」
「だから頭を潰すべきですな」
「この度の戦は」
「しかも顕如は門徒達に死ぬなと言っておる」
このことは信長にとって幸いだった、命知らずに向かって来る者達程面倒な者達はないからである。
それに彼等も民だ、民を殺すことはそのまま国を弱めることだからだ。だから彼にしても門徒達が逃げて村に戻り日常に戻るならなのだ。
「よいことじゃ」
「では、ですか」
「今も」
「うむ、降るか武器を捨て逃げる者はな」
それでいいというのだ。
「構うな、帰してやれ」
「そして治めるのですな」
「民として」
「そうせよ、わしは門徒達だからといって何もせぬ」
一揆を起こし歯向かわないのならというのだ。
「それでよいわ」
「では、ですな」
「今は」
「一乗谷に向かいましょうぞ」
「今度は一乗谷に入りじゃ」
そしてだというのだ。
「そこから攻めるぞ」
「越前全土を取り戻すのですな」
明智がそれからのことを問うた。
「そうされますな」
「そうじゃ、越前を任せた者は殆どいなくなったがな」
前波も朝倉家の者達も皆死んでしまった、一向宗に倒されたのだ。
「それであらためてじゃ」
「この国を治める為にも」
「取り戻しそしてじゃ」
そのうえでだというのだ。
「権六の言う北ノ庄を見るぞ」
「是非共」
柴田も確かな顔で応える。
「そうして下され」
「ここから北陸のことも考える」
越前だけでなくというのだ。
「加賀にその北もな」
「能登もですか」
「そして」
「上杉もじゃ」
越後の彼等もだというのだ。
「上杉謙信が来た時にもな」
「備えますな」
「その為にもじゃ」
一乗谷ではなく北ノ庄にだというのだ。
「城を置きたいからな」
「ではその為にも」
「まずは一乗谷に入り」
「そこからじゃ」
越前全土を奪還しそしてだというのだ。
「よいな」
「はい、では」
「まずは越前を」
こうしてだった、信長は一乗谷に進みそこから越前全土を奪還するつもりだった。金ヶ崎の戦いは大きなものをもたらそうとしていた。
第百五十三話 完
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