反董卓の章
第22話 「…………よっ、兄弟」
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に動いていた気がしますわ。
そう思うと……ちょっと腹が立ちますわね。
「……とう、しゅう、か。まさか……あの男が生きて、そして馬正を……」
目の前の男が、泣きそうな顔を更に歪めて……
唐周さん、いえ、唐周をご存知なのかしら?
「……なら、全軍を退かせてくれ。影武者扱いされたとはいえ、きちんと説明すれば指揮を取り戻せるだろ」
「え? ええ……」
「で、でも、この状況じゃ……」
周囲は先程より衰えたとはいえ、炎の蛇が噴き出る阿鼻叫喚。
こんな状況で統制を取り戻すのは困難ですわ。
「……なら、この状況を抑えるしかないか。君らは一旦逃げろ」
「え……でも」
「なんとかする……できるだけ自分たちの兵に声をかけて水関へ戻れ」
「なんとかって……」
そんなこと、人ができるわけが……
「れ、麗羽様。ここはこの天の御遣いさんに任せましょうよ。私達にできることなんて殆ど無いんですから」
……そういえば、この男は天の御遣いと言われていたのですわね。
ついさっきまで『地獄の鬼神』という感じでしたけど……
でも、今の悲しげな顔を見ていると、先程までの鬼のような威圧感も感じなくなってきますわ。
なんというか……今にも泣き出しそうな幼子のような風にも見えますわね。
思わず抱きしめてあげたくなるような……
「麗羽様ってば!」
「……はっ! あ、いえ、そんなことなくってよ!?」
「は?」
いえいえいえいえ!
ありえませんわ!
「……よくわからねーけど、アタイもそう思います。ここはこのおっかない兄ちゃんに任せましょうよ。このままだとあの裏切り者の言うこと信じたバカが向かってきそうですし」
いつのまにか傍に来ていた猪々子さんが、そう言ってわたくしを肩に……って、なんでですの!?
「ちょっ、猪々子さん!?」
「はいはい、おとなしくしてくださいね、姫。どうせ腰が抜けているんでしょう? このままアタイが運びますから。斗詩、護衛頼むな」
「あ、うん。文ちゃん、剣砕かれちゃったもんね」
確かに腰から下が動きませんけど……だからって肩に担ぐのって臣下としてどうなんですの!?
「じゃあ、御遣いの兄ちゃん。後お願いな。あと……ほんと、ごめん。このお詫びとお礼は必ずするから」
「あ、私もです。あの男の不始末を押し付けてすいません」
猪々子さんと斗詩さんが深々と頭を下げています。
あー……そうですわね。
わたくしにも責任がありますわ。
「その……わたくしからもお詫び申し上げますわ。いつか必ず正式な謝罪を――」
「はい、姫、時間がないから行きますよ」
「ちょっと猪々子さん! 貴女、主に対してその態度はどうなんですの!?」
「今は
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