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路地裏の魔法少年
第1部その2:勝つためにはやっぱ特訓じゃね?
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ならない。
 その点銭湯みたいな全身にビリビリ来るクソ熱い湯はパンチが効いていて、眠気も疲れもブッ飛ばしてくれる。
 家の風呂は諦めて暫く銭湯通の生活にしようかなマジで。

 そんな明日以降の自分のライフスタイルついて考えて居ると頭に手ぬぐいを乗せた啓太は徐に口を開いてこう言った。

 「なぁ槍一……お前はさ、今度『あの子』に会ったらどうすんだ?」

 「何だよ藪から棒に」
 俺は怪訝な表情を浮かべて啓太の方を振り向いた。
 『あの子』とは恐らく昨日戦った魔導師の女の子の事であろう、出来れば思い出したくない人物だ。

 「いやな、スクラっちが同じことをナノっちに聞いたらしくてよ、それで俺も気になったんだ」
 「へぇ、ユーノがねぇ……それで、高町さんは何だって?」
 俺は自分の事を言う前に高町さんの事を聞いてみる事にした。
 下手な事を言ってコイツにアレコレ突っ込まれるのは嫌だし……。

 「ナノっちはあの子とお話してみたいのって言ってたそうだぞ、理由も無く戦うのは嫌だし、若しかしたらお友達になれるかも知れないからだそうだ……(たくま)しいというか可愛らしいと言うか……ま、その為にはまず同じ土俵に上がれるくらいにならないといかんがな」

 へぇ、高町さんはそんな事を考えて居たんだな。
 まぁ「今度会ったらメタメタにぬっころがしてやるの」とか絶対言わないだろうからな、むしろ「もう戦いたくない」とか言うかもしれ

ないと思ったが、今日もずっと練習してたしやっぱりあの子強ぇや、尊敬するぜまったく。

 「…で、お前はどうなんだよ槍一?」
 そして再び俺の話に舞い戻る。
 まぁ、高町さんの話を聞いた手前、俺が言わなきゃ不公平だわな。

 なので仕方なく俺は自分の思っている事を正直に述べてやる事にした。

 「俺も高町さんの考えてる事に近いかな、ただ俺の場合は『謝る』だけれど……」

 「謝るって……あぁそうだよな、お前の場合『やらかした』もんな」
 「あぁ、やられて嫌な事をやっちまったら謝んないとな、謝って、謝って、謝りまくって、向こうが許すって言うまで謝りまくるぜ俺は」
 「……謝って、それからどうすんだ?」
 「決まってる、謝ったら『謝らせる』、理由はどうであれ高町さんを撃ち落としたんだから、その分はしっかり詫びを入れてもらわないとフェアじゃ無ぇだろ?」

 それが俺の思っている全てだった。

 『やれて嫌な事は相手にやらない』
 これは当たり前の事だ、だが俺達はそれを知っていても、相手の嫌がる事、嫌な思いをさせる事をしちまう事がある。
 それに気づいた時は、やはり『謝る』意外に方法は無いだろう。
 それこそが一番正しい方法だと俺は思う。
 物でも金でも無ぇ、まずハートだ。

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