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路地裏の魔法少年
第1部その2:勝つためにはやっぱ特訓じゃね?
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 気が付くと、俺達は自分の足が一体どっちだったのか分からなくなっていた。
 まぁ実際は分かるんだが、感覚的な意味で、痛みで色々麻痺しちゃったし。

 「なぁ……槍一、一ついいか?」
 はあはあと息を切らす啓太、石畳の上で何度も転がった為に彼方此方ボロボロである。
 「あ?なんだよ」
 同じく息がキレキレの全身ボロボロになっている俺は短くそう言った。
 よくこんな状況で喋る気になるよなとも思ったが、コイツが言いそうな事は大体察していた。
 つーか、俺も同じ事を思っていた。

 「足、抜けなくなった」
 「奇遇だな、俺もだ」
 「…どうしよう?」
 「どうするってお前…あ、そうだ高町さん呼ぶか?」
 「お前頭良いな」

 とりあえず俺達は向こうでピンク色の魔弾で空き缶をフルボッコにしている高町さんにヘルプを送る事にした。

 その数秒後、直ちに駆け付けた高町さんはそこで、足を複雑に絡ませ互いにモゾモゾ動きながら一番痛くない位置を必死で探っている俺達の姿を目の当たりにするのだが、それを見た彼女の目はまるで死んだ魚の様な目だった。

 俺達はその顔を忘れない。
 その後「少し頭冷やしたほうが良いの」と言った彼女のどす黒いオーラはもっと忘れない。
 持っていた練習用の『スチール缶』をベコン!と握り潰していた事はもっともーっと忘れない。

 すこし真面目に生きよう。
 かなり真面目に練習しよう……。

 俺達は神社の境内の中で深くその胸に刻む事にした。


 ◆◇◆


 その日の夕方の事だ。


 俺は桶に着替えと石鹸類とタオルをぶっこんで近所の銭湯まで訪れていた。
 理由は至極単純である、家の給湯器がぶっ壊れたのだ。
 親父にその事を電話で伝えたら、親父は今日も職場で泊まりとの事で「とりあえず今日は銭湯で済ませてくれ」との事だった、仕方あるまい。

 そんな訳で俺は携帯電話と500円玉とウィルをポッケに突っ込み、風呂道具を抱えて銭湯にやって来た訳なのだが……。

 「「……何でお前が居んの?」」

 俺達は声を合わせて互いを指差した。
 目の前に俺と同じように桶を持っているソイツは、さっき別れたばっかの啓太である。

 何だ、お前ん家の給湯器もイカレたんか?
 と、思ったのだがどうやら違うらしく、本人曰く「今日は銭湯のクソ熱い湯に浸かりたい心境である」との事だ。
 何処のじい様だお前は?

 まぁいいや、こっちはお前がやらせたヘンテコな特訓と、四の字合戦でクタクタのボロボロなんだ、早いとこ風呂に入って飯食って寝たい。
 俺はそのまま銭湯の暖簾をくぐると番台のばっちゃんに500円玉を渡して御釣りを貰い、脱衣所の方に上がった。
 ちなみに貰った御釣りは風呂上りに
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