第一物語・後半-日来独立編-
第六十六章 強くあるために《2》
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今はこの力が自分自身の力。
屈することはない。扱い、抗い続ければいいのだ。そうすれば限りある命も、少しは長く保つ。
限りある命だ。大切に使わなければと思うが、現実は甘くないようだ。
「委伊達・奏鳴。如何にお前が竜神を従えようとも負ける気など一切無いぞ」
言うと、央信の周辺の空気が一変。黒く、もやが掛かったように汚れ、瘴気に似た異質な空気が流れる。
風に乗って運ばれ、何処か向かうかのように消えていく。
同時。喉を喰われていた麒麟が発光する。どす黒い液を飛ばし、内部から破裂したのだ。後から来る爆音と共に竜神を吹き飛ばすが、空中で姿勢を正す竜神は無傷に近い。
なんの真似かと皆が思う時。
麒麟はまとっていた、黒く染まった肌を脱ぎ捨て新たな肌を露わにする。
黒い光沢のある肌に走る無数の黄色の線。
不気味な紫の瞳は竜神を見詰め、口から瘴気を吐き出している。
近くにいただけで気が参りそうな。とても強い、負の瘴気だ。
「力を使い過ぎたために天魔との繋がりが強くなる。よって扱う力の質が上がる。仮説は正しかったな」
天魔と言えど、流魔によって構成されているものの一つだ。
繋がりが強くなった分、流魔が作用し、麒麟の形状に変化をもたらした。
代償として央信自身の命が短くなったことは、天桜の覇王会の誰もが理解した。それは当の央信も同じだ。
だが、これでいいのだ。
「この世は強い者が勝つ。善も悪も平等に」
すうっと息を吸い、呼吸を整える。
戦いが終わるまではこの身体を保たせる。でなければ、隙を疲れて負けるのは解っていた。
今の自分には宿り主相手に戦える程の生命力は、少なからず残ってはいない。
「終わりにしよう。終止符を打つ時だ」
そう言うと、静かに衣を剥がした麒麟が歩き出す。
ゆっくりとした足取りだが、着実に、竜神の方へと向かって。
地響きと共に瘴気が舞う。
遠くからそれを見ていた奏鳴とセーランは身構え、短い会話を交わした。互いを信じ、認め合った者同士の会話だ。
●
強大な竜神の力を使い、荒く呼吸を行う奏鳴の肩にそっとセーランは手を置いた。
平気かと、心配している。だから奏鳴は返事を返した。
「初めて神の力を使ったから身体が余計に疲れただけだ、心配無い」
「あんまり無茶するな。通常だってやたらめったら神の力を使うとやばいんだ。まだ竜神の力を使いこなせていないのにこれ以上は」
続けようとしたセーランの言葉を、奏鳴が首を横に振って止めた。
奏鳴は振り返り、息が整わないまま。
「お願いだ、やらせてくれ」
「出来るならそうしてやりたいが」
「これは私のわがままだ。意地でもやりたい。そうしなければならない……そうじゃないと駄目なんだ」
必至の頼みだった。それ程この戦
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