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魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
遥かに遠き刻の物語 〜ANSUR〜 W
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「投降は・・・しない!」
――
圧戒
(
ルイン・トリガー
)
――
重力操作による10倍の重力がシエルの周辺を襲う。過去シャルロッテは術の出始めを学習して、すでに閃駆によって効果範囲から離脱を終えていた。そのまま“キルシュブリューテ”を完全解放し、仕方なくシエルを殺すことを、心が揺らいだまま決める。
「真技!! 飛刃・翔舞じ――っ!!?」
――ネメジ・ディーオ――
何度目かの真技を撃とうとした過去シャルロッテに、ジョンブリアンの雷撃が襲い掛かる。過去シャルロッテは本当にギリギリのところで落雷を躱し、居合い抜きの構えで警戒する。
「これ以上続けるのなら、私が相手をしましょう、レーベンヴェルトの騎士よ」
シエルを護るかのように立つのは、“アンスール”の雷皇ジークヘルグ。手にするのは神造兵装・“天槌ミョルニル”。柄の短い黄金の鉄槌で、バリバリと放電している。
「ごめん、ジーク。負けちゃった。兄様に何て言おう・・・」
負けたことに激しく落ち込むシエルにジークヘルグは微笑み、すぐさま過去シャルロッテへと視線を戻す。
「ジークヘルグ・・・。確か同盟世界ニダヴェリールの皇帝で、アンスールの1人。(現状だと分が少し悪い、か。仕方がない。ここは一度撤退する・・・)」
調子に乗って真技を連発したツケが今の彼女を襲っていた。魔力の枯渇とまではいかないが、ジークヘルグを相手にするには魔力が足りなかった。
「返答は如何に?」
「・・・撤退するわ。私の部隊も落とされたし。途中で別れた分隊のことが気になるし、ね」
「そうですか。ならばこちらも退きましょう」
互いに神器を納め、踵を返して背を向ける。そして、同時にジークヘルグと過去シャルロッテが振り向き・・・
「アースガルドの子、名前は?」「騎士よ、君の名は?」
名前を聞いた。
「・・・ミッドガルド天光騎士団・
星騎士
(
シュテルン・リッター
)
、シャルロッテ・フライハイト」
「アースガルド同盟軍アンスール、シエル・セインテスト・アースガルド」
「シエル・・・ね。もう1人の砲撃手は?」
過去シャルロッテが周囲を見回し、カノンへと尋ねる。
「アースガルド同盟軍アンスール、カノン・ヴェルトール・アールヴヘイム」
姿は見せないが、それでもしっかりと名乗ったカノン。過去シャルロッテはそれに微笑し、そして去っていく。
「カノン、か。シエル、カノン。次に会ったら、今度こそ私は完全勝利を収める。それまではその命、あなた達に預けておくわ」
なのは達の視界に映る光景が、ビデオの一時停止のように止まる。
『これが私の初陣。結局、第一隊は私ひとり残して全滅。第二隊も半壊、第三隊はひとり残らずの全滅だった』
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