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魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
遥かに遠き刻の物語 〜ANSUR〜 W
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鞘へと納め・・・

「アンスール! 神器を納め、大人しく投降しなさい!!」

シエルとカノンに投降を呼びかける。その瞬間、過去シャルロッテの2発目の飛刃・翔舞十閃がシエルとカノンの砲撃を完全に掻き消し、シエルへと殺到した。

「・・・まだ小さな子供・・・だったのに・・・。どうして、どうして戦争なんか・・・。くだらない・・・!」

シエルの居た場所に吹き荒れる砂塵を見つつ、過去シャルロッテは悪態を吐く。彼女は“キルシュブリューテ”の解放を封じ、シエルを支援していたカノンを探し出すために動こうとした。

「・・・今ので、まだ生きているなんて・・・。さすがは同盟軍の英雄アンスールの1人というわけか」

晴れてきた砂煙の向こう、そこには負傷したのか右腕を押さえながら片膝を付くシエルが居た。シエルは咄嗟に重力で地面に穴を掘り、潜ることで過去シャルロッテの真技をやり過ごしていたのだ。その彼女の紅と蒼の瞳に宿るのは、恐怖でもなく絶望でもなく、決して揺らがない戦意だった。

(ホント冗談は止してもらいたいわ。あんな幼い子供が、あんな目をするなんて・・・)

過去シャルロッテはシエルのその目を見て、心底脱帽していた。

「これが最終通告よ、アンスールの魔術師。神器を納めて投降しなさい。大人しく投降してくれるのなら、絶対に手を出さないと約束するわ」

もう1人のアンスール・カノンに警戒しつつ、過去シャルロッテがシエルと近付いて行く。シエルは黙したままでその場から動こうとはせずにいた。

「怒ってないの? わたしを殺したくなるほど怨んでないの? 憎くはないの? わたし、あなたの部下を殺したんだよ? 普通なら復讐したくなるんじゃないの?」

シエルが静かにそう問うた。過去シャルロッテはどういうつもり?と思いながらも、足を止め答えた。

「そうね。確かに憎いわ。でもね、それでも負の感情を戦場に持ち込むのは絶対にいけないわ。戦場で負を抱いてそのままに戦えば、待っているのは自身の破滅のみだから。それに、戦場に出た以上、死は覚悟の上。普段からそういう世界にいる私たちは特に」

だから復讐はしないと過去シャルロッテはキッパリと言い放った。だが実際は、大切な部下を殺した犯人は容赦せずに殺そうとしていた。しかし、その犯人であるシエルのあまりの幼さに心が揺らいだ。本当にこのまま殺してしまっていいのか、と。こういう小さい子供こそ護るのが騎士なのではないのか、と。シエルは敵である。部下を殺めた犯人。それでも過去シャルロッテは迷った。シエルはポカンと口を半開きにしたまま、その言葉を聞いていた。

「・・・これが、騎士。ヨツンヘイム連合の正規軍人と全然違う」

「軍人と騎士を一緒にしてほしくないわ。っと、それで? 投降するの?しないの?」

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