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魔法少女リリカルなのはANSUR〜CrossfirE〜
遥かに遠き刻の物語 〜ANSUR〜 W
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きながらそう静かに告げたシャルロッテ。なのは達はどう声を掛けていいのか判らず、ただじっと黙っていた。

『本部に帰ってからはいろいろと言われたなぁ。特に男尊女卑の権化、グラシオンには』

場面が変わる。そこは天光騎士団本部聖騎殿(ハイリヒ・パラスト)の東門前広場。

「いやはや、アンスールには返り討ちにされ、その果てにシュベーアト・オルデンが半壊――いや、ほぼ全滅とは。何をやっているのだろうな、フュンフト・リッター・シャルロッテ?」

過去シャルロッテの率いたシュベーアト・オルデンの状況を知ったサー=グラシオンは、わざわざ彼女たちの帰りを待ち、その嫌味な言葉を過去シャルロッテへと浴びせた。その下卑た笑みを見せる彼に、なのは達は怒り心頭。

「あぁ、これから君はどうするんだい? 騎士団の大半を失った君は? ふむ、まぁいい機会だ。天光騎士団を辞めてはどうか? やはり君ら女は弱くて頼りない。大人しく国に帰り、我々に護られていたまえ、フライハイト侯爵令嬢殿。クククク・・・アァーハッハッハッハッハッハッ!」

そう言って、シュピーゲル・オルデンの詰め所へと帰っていくサー=グラシオン。過去シャルロッテは何も反論せずに黙って耐えていた。事実である以上、文句は言えないと。切れて血が出るほどに唇を噛み、きつく握った両拳からは血が滴り落ちていた。それでも涙だけは流さなかった。それが彼女の騎士としての意地だから。

「シャルロッテ様・・・」

無傷とはいかないが、それでも無事だったグレーテルが過去シャルロッテを心配して声を掛ける。生き残った他の騎士も心配そうにしている。中にはサー=グラシオンにベーッと舌を出す者もいた。

「ごめんなさい。私が団を分けた所為で・・・こんな・・・。でも、それでもこんな私に付いて来てくれるなら、私は――私たちシュベーアト・オルデンは終わらない・・・」

背後に居る騎士たちに背中を向けたままそう告げる過去シャルロッテ。少し沈黙が続き、背後からこの場から離れていく幾つもの足音を彼女は耳にした。彼女は「しょうがないわよね」と、もう誰も居ないであろう背後へと振り向いた。

「っ!」

少し離れた場所に整列したシュベーアト・オルデンの騎士たちが居た。誰一人として欠けることなく、過去シャルロッテから視線を逸らさずにいた。

「私たちの将はあなただけです、シャルロッテ様」

グレーテルが、騎士たちの代表として過去シャルロッテに告げる。すると他の騎士たちも「一生ついていきます」などと口々に告げていく。それを見て、聞いて、ここで初めて過去シャルロッテが涙を流す。

「ありがとう。ありがとう。ありがとう。みんなの想いに絶対応えるから。だから、シュベーアト・オルデン! 再編成した後に再度同盟軍に仕掛ける!」


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