第八章
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嶋の目に迷いはなかった。
ならば投げるのがピッチャーである。佐伯はボール球に手を出してしまいあえなく三振した。これで西武はシリーズをふりだしに戻した。
「おい、よくあんなリードが出来たなあ」
東尾は中嶋を満面の笑みで迎えた。
「ええ、ここは腹をくくろうと思いまして」
中嶋は会心の笑みをたたえていた。
「そうか、腹をくくったか」
「はい、変化球は最初から捨てていました」
その言葉に西武ナインは驚いた。
「頼もしいな、これからもその心構えでやってくれ」
東尾は彼のその気の強さが有り難かった。彼により西武は生き返ったかに見えた。
一方宿舎に戻った権藤は一人考えていた。
「これで五分と五分か」
彼は悩んではいなかった。だが何か考えているのは明らかである。
「こうなったら悔いのないようにやるか」
そう言うと椅子から立った。そしてビールの缶を開けた。
「勝負に迷いは禁物だ。そして悔いがあってはならない」
彼はここでも独自の哲学を脳裏で呟いた。それは投手であるということからくる哲学であった。
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