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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
三十四話 舞い降りる狂花
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けど…要石か何かがある筈」

 天を仰ぎそんな事を呟く僕に綺羅が声をかけてきた。

「それなら大丈夫です、この結界は僕が張ったものですから。少しお待ちください」

 綺羅がそう言って印をきると綺羅の周囲に螺旋を描く様に術式が展開されその術式が一気に解け、それと同時に結界の気配も霧散した。
 此処の結界は強力なものだった、つまり展開するのも難しいのにそれを遠隔で簡単に解除するのも凄い事なのだ。僕を始めルーミア達からも賞賛の言葉と視線を向けられ綺羅は恥ずかしそうに目を逸らし、その様子を百合は可笑しそうに眺めていた。

「綺羅と百合、地子には悪いんだけど、とりあえずさとりの姉さんが居るらしい花畑に行かせてもらってもいいかな?」

 僕の提案に博麗親子と地子は快く了承してくれた。状況を考えるとさとり達をその姉さんの元に早々につれて行った方がいいし、博麗親子と此処で分かれるのも危険な気がする。地子は巻き込まれただけだが此処から一人で帰れないだろうし暫くは一緒に行動してもらうしかない。
 方針が決まった所で僕達は最初の目的地である花畑を目指すことにする。飛べない地子をルーミアが抱え、飛翔の術が使える綺羅が百合を抱えて先導しているさとりとこいしの後に続いた。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 美しく咲き誇っていた向日葵達が無惨に焼かれ、薙がれ、地面ごと抉り取られている場所もある。百鬼丸の手勢による“掃除”の惨状だ。しかしそれでも花畑の半分は被害を免れていた。
 
「GAyyyyyyy!!!」

 空を縦横無尽に飛び回っていた蝶の羽を持つ蝙蝠の姿をした妖怪が無数の氷の刃に裂かれ地上に向かって墜落しながら塵になっていく。その様子に残った妖怪達が攻撃を行った相手へと更に殺気を込め攻勢をかける。

「はぁっ!はぁっ!はぁっ!はぁっ!」

 妖怪達の攻撃に晒されているのは小柄な女の子だった。
 薄めの水色のウェーブがかかったセミショートヘアーの後頭部に青く大きなリボンを付け、空の様な青い瞳、そしてその背中には菱形に近い六枚の氷が羽根のように広がり、襟元に赤いリボンを付けた半袖の白いブラウスの上から着ている青いロングワンピースは妖怪達の攻撃で所々ボロボロになっている。
 迫り来る爪や牙を避けつつ自分の周囲に十の氷槍を造り出すと、正面から大口を開け襲い掛かってきた狼型の妖怪の口内目掛けて一斉に打ち込んだ。その氷槍は狼の頭部を貫通し絶命に追い込んだがその攻撃の隙を突かれ女の子は後ろから襲い掛かってきた人型の妖怪に地面へと押さえつけられてしまう。

「漸く捕まえたぞ!調子に乗ってくれたな!妖精の分際で!」

 人型妖怪が憎らしげにそう叫ぶと押さえつけられている
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