第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十四話 舞い降りる狂花
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の居なくなった向日葵畑の中に百鬼丸は一人佇んでいた。その顔にはこれから起こる事への期待とその結果に対する愉悦が浮かんでいる。
そんな風に佇む百鬼丸の足元にある影が不定形の生き物の様に広がり膨張し百五十センチ程の人型を取った。
「ケ、ケヒ!“鬼ハ?ヲ付カナイ”!ドノ口ガ言ッテルノサ!ケヒヒヒ!」
人型を取った影から少女の声が響く。それは影ではなく黒い黒い、そして暗い鬼。黒い以外に表現できず頭の額だと思われる部分には十センチ程の角らしき物と目だと思われる二つの真紅の輝きがある。表情などは全く分からないがその言葉からは楽しくて仕方が無い、という感情が伝わってくる。
そんな黒い少女に百鬼丸は目を向けることも無く、しかし楽しそうに、可笑しそうに返答した。
「ああん?俺は?なんて付いてねーぞ、事実を纏めてやっただけだぜ!“人間”“七枷の神”“討伐”“妹”“力を貸す”てな。つまり七枷を潰せば一件落着だろ?なぁ無有」
尤もらしい事を笑いながら口にする百鬼丸に無有と呼ばれた少女も笑って返した。
「ケ、ケヒ何処ガ一件落着ナノ!七枷二喧嘩ヲ売ッテモ妹ハ救エテナイジャナイ!ケ、ケヒヒヒヒヒ!タダノマヌケ!タダノ道化!」
「道化なんて言ってやるなよ!妹思いの優しい優しい奴だぞ!ハーハハハハハハッ!!」
向日葵畑に二匹の鬼の笑い声だけが響き渡る。
「ケ、ケヒ、デモ何デ七枷ノ郷ヲ襲ワセルノ?シカモ一人デ?」
無有はそんな疑問を百鬼丸に投げかけ、問われた百鬼丸は笑みを消し吐き捨てるように言葉を吐いた。
「ふん、郷を襲わせるのは“あのくそ野朗”が少しでも苦しむ様にだよ、つまりは嫌がらせさ。どうせあの女は死ぬんだ、なら有効活用してやらなきゃな。精々頑張ってくれよ風見幽香」
百鬼丸は幽香が飛び立っていった空を見ながらそう言いうと徐に右手を挙げる。すると森の方から数匹の姿形がバラバラの妖怪が飛び出し百鬼丸の元に降り立つと頭をさげる。
「さて俺は帰るから此処の掃除は任せるぞ、この鬱陶しい花を綺麗に刈り取っておけよ」
百鬼丸は近くにあった向日葵を一本手に取り手荒く引き千切りながら妖怪達にそんな命令を下す。その言葉を受けた妖怪達は頭を下げたまま了解の意を示し、それを確認すると百鬼丸は向日葵畑を後にした。
「ケ、ケヒ、綺麗ナ花畑ヲ壊スノハ勿体無イナ!デモ壊レル姿ノ方ガキット素敵!ケヒヒヒヒヒ!」
無有はそんな事を叫びながら自身の影の中に沈んでいった。
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机や棚に紙の書類が乱雑に置かれ整理整頓という言葉とは無縁な部屋の中で僕は絶賛家捜し中だ。今後の事も考え彼等の商品流
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